招待状
今後の私の身の振り方はまだ決まっていないようだが、主上から五節の舞を観に来るようにと招待状が届いた。
断る理由もないし、何より舞が近くで見られるという理由で行くことを決めた。
皐月として行くということは“姫“としていくので、雪華と若菜様が張り切っている。
こちらに来た時に着ていたモノでもいいような気がするが、
当日の朝内裏からお迎えが来るらしい。
それまでにある程度、どういう衣装、設定にするのかを決めておっかないと後々困るだろう。
帝直々のお誘いで、私の身分をどうするのかと思ったが皇后様ゆかりの姫君ということになっていた。
皇族の血は確かに引いていますが、無理やり過ぎないだろうか?
とも考えてしまう。
しかし、好意には素直に甘えておいた方が身の為のような気にしないようにしよう。
青にぃ達も好きにさせておけと言っているし問題はないのだろう。
雪華と若菜様の着せ替え人形とされ色々疲れて来たので、そろそろ終わってほしい。
「姫さまー、皇后様とあいつから。」
そこへ現れたのは内裏へお使いに行ってもらっていた琥珀だ。
差し出された箱を両方開けば、皇后様からは檜扇、春宮様からは花を模した髪飾りが入っていた。
「これは両方身につけて来るようにってことかしら?」
「100%そうじゃろうな。まぁ、今の襲色目とも合うしよかろう。」
雪華と一緒に話していれば、唇を尖らせて明らかに拗ねてますという表情をした琥珀が視界に入る。
「どうしたの?白虎。」
「姫さまが、最近妾たちと一緒におるからのう。構ってほしいんじゃろうて。」
「そっか。なら、明日右京に紅葉見に行こうよ。」
そういうと、不機嫌だった表情が笑顔となる。
ひとまず、皇后さまと春宮さまから頂いたモノで装飾品も決まったし当日の衣装も決まった。
今日はもう疲れたので、明日琥珀と一緒に出かける約束をしてその日は早めに休む事にした。
「これは、三人と五節の舞までに出かけないといけないかなぁ。」
「まぁ、朱雀も、白虎も、青龍も姫さまを溺愛しておるしのう。」
「皐月ちゃんは、誰が好きなの?」
「みんな同じくらい好きですよ?特別は今はいないかなぁ。変なのかな?」
「いや、安倍の一族の者は“この人”って思う人が現れるまでは博愛じゃからのう。気持ちに気づくまでは無理じゃなぁ。」
「そうなのね。だから、おじいさまも父さまも、お祖母様や母さまにあんな感じなのね。」
「そうじゃな。今日はゆっくりお休み。」
「若菜さま、雪華ありがとう。おやすみなさい。」
2人にお礼を言いそのまま疲れを癒すことにした。
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