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目を覚ました時に1番初めに視界に入ったのは、青にぃの寝顔だった。
私をぎゅっと抱きしめられた状態で眠っている。
えーっと、私どうしたんだっけ??
確か春宮さまと話していて、午後の巡回に出ようとして貧血を起こしたようにふらついて・・・・・あー珍しく気を失ったんだ。
隣に眠っている青にぃは目を覚ます気配も無くて、ぐるりと視界を彷徨わせるが、珍しく誰もいない。
〈誰かいるー??〉
声が掠れて出ないので、神将に話しかける。
1番初めに姿を現したのは、雪華だった。
〈目を覚ましたかのぅ。〉
〈うん。現状の確認をしたいのだけれど、先にお水を持ってきてもらえると嬉しい。〉
〈そうじゃな。〉
〈皐月ー!!〉
〈白虎、お水をもらっておいで〉
〈分かった!〉
と、雪華は白虎にお使いを頼む。
部屋を出て行った白虎の気配を感じて青にぃの腕の中から抜け出したいのだが、私の体の下にある腕は腰をしっかり掴んでいて身動きが取れない状態である。
〈何があったか一から説明してくれる?〉
〈そうじゃのう。青龍も姫さまを離す気もなさそうじゃしのぅ。〉
〈私が、梨壺で気を失ってからどれくらいが経った?〉
〈そうじゃの、約8日じゃの。ちなみに青龍はまだ目を覚まさぬ。現状姫さまの霊力と神力を少しずつ吸収して、自分の力に変えていっているからの。〉
〈ん?どういう事?〉
そう聞き返したタイミングで、琥珀がお水を持ってきてくれて私はそれを少しずつ飲み干した。ヒヤリと雪華の手が私の額と首筋に触れる。
〈まだ、熱は残っておるの。まぁ仕方ないか。お腹は空いているかぇ?〉
〈うーん、あんまり空いていないかも。〉
〈俺、晴明に皐月が目を覚ましたことを伝えてくる。〉
〈そうじゃの。さて姫さまには、何があったのかをちゃんと説明しようかの。まず今回姫さまが倒れたのは、姫さま自身の霊力と神力が器に沢山満たされて、以前と違い外に溢れるということができなくなった。たとえ溢れていたとしても、今の姫さまの力の回復速度はかなり早い。この都全域に結界を張ったとしても、2日あれば元の状態に戻るじゃろうな。そして青龍は、先ほども言ったが姫さまの力を吸収して自分の力に変換しているから、その反動で眠っておる。姫さまが目を覚ましたから、しばらくすれば青龍も目を覚ますじゃろう。〉
〈それは、よかった。〉
さらっと青にぃの前髪を撫でる。
〈雪華。じゃあ私はどうやったら自分の力をうまく循環もしくは発散させることができるの?〉
〈一つは、我々が持っておる持ち物を身につけてそちらに姫さまの力を貯める方法。普段から瞼や頬にキスをしておったじゃろう?あれも発散させる方法の一つ。妾たちとくっついて眠るのも方法の一つ。まぁ恋人や夫ができた場合、閨が1番力を発散させることができる。相手と混ざるからのう。〉
〈なるほど?じゃあ、閨以外は全部しよう。〉
という私の一言で、力の発散方法に関しては解決をした。
〈しかし、なんで私は急に力がこんなに多くなったの?〉
〈元々、姫さまは力は強かった。産まれた時からのう。それこそ我ら4人が数百年ぶりに下界へ降りるくらいその力は伝わった。器に収まりきれぬ力は命をも削る。だからその日から妾たち4人は常に姫さまの傍に着いておこうと決めたのじゃ。〉
〈そうだったんだ。〉
〈それ以外にも理由はあるが、それは青龍から話を聞くと良い。〉
〈・・?分かった。それより朱桜の姿が見えないんだけど。〉
〈あやつは、姫さまの異変に気づけなかったことに対して、自分自身に拗ねておるというか自己反省?期間を取ると言って晴明の手伝いをしておるよ。〉
〈私も気づかなかったのだから気にしなくて良いのに。〉
〈そこはのう。まだまだ朱雀も幼子ということじゃ。それより、熱も完全に下がっておらぬからもう一度眠ると良い。今度は妾も一緒じゃ。〉
〈うん。ありがとう。〉
へにゃりと笑うと、再び横になり青にぃと雪華に挟まれた状態で体の力は抜け、ゆっくりと瞼を閉じた。
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