舞
承香殿に入ってきたのは帝と晴明さま、そして春宮さまの3人だった。
神将達もしっかり見えるようにしてもらった。
何もないところから楽の音が聞こえたら怖いじゃない?
と言うことで、私の舞から発生する神気は強烈なので軽く3人の身に結界を張ってもらった。
今回は私と雪華が舞う。
祓いと結界は雪華が1番得意だからだ。
神将達が助力してくれるという事もあるが、色々な物を混ぜ込んだオリジナルの舞だったりする。
ベースはちゃんとした神楽舞。それを自分なりに応用して神将達も異議を唱えなかったのでそのまま私のオリジナルの舞が出来上がった。
私が舞える舞の中で1番強力で滅多に破られている事のない結界。
だから、みんな知らないと思う。
雪華と互いに一礼をすると扇を使ったゆったりとした曲調で舞い始める。
この舞は色々ある舞の中で結構後半が激しくなる。
前半に邪気を祓い尽くし、後半結界を張る感じだ。
[ーーーかしこみかしこみ申す。
祓給え、祓い給う。
悪意のある邪気全てを。
清め給え、清め給う。
全ての大地を。]
青丹、朱桜、琥珀の楽の音に合わせゆったりと優雅に舞う。
背中合わせになったり、お互いすれすれの位置で腕を大きく回したり、全体的にクルクルと円を描きながら舞い、鈴の音で一度折り重なるようにして座り込む。
鈴の音が消えれば絵帽子をとり髪を一房にまとめる。
あらかじめ高い位置に結んでいたので、まとめていた紐の一つを解けばポニーテールになり、靴を脱いだ裸足になると手足に鈴を取り付ける。
雪華から結び目に生花とかんざしを差され、額にキスをされればそこからじんわりと神気が流れ込む。
ここからは、私の全身全霊全てを集中させないと持たない。
細太刀を抜き、呼吸を整えると、初めの構えをとる。
目を閉じて、内裏、大内裏全体にある結界をさらに大きく包み込むイメージを浮かべる。
[ーーーー護り給え、護り給う
全てのモノを。
我、命のもと、邪悪なるモノの妨げになるよう。]
祈りながら、私の中にある神気と霊力を練ってゆく。
細太刀で縁を描き、マントラを描く
足捌きも複雑で、シャンシャンと鈴の音が殿舎の中で木霊している。
私が足をつけた1番が淡く光を放ち出せばもう少しで完成だ。
五芒星を完成させ、細太刀を床に突き刺す。
「封!!!!」
私がそう叫べば全身から練った力が解放され、はじめにイメージしていた結界のさらに上を包み込むように力が広がっていく。
室内には突風が吹き荒れ様々なものを揺らしていく。
全てを包み込むのを確認すると、風は止んだ。
細太刀を抜き鞘に収める。
元々儀式用に板を敷いていたので床は痛めていない。
同時に全身に疲労感と脱力感が襲う。
そのままへたりと座り込めば、琥珀がすぐさま駆け寄り抱き上げてくれた。
「白虎の中堅ぶりも相変わらずじゃのう。」
「いいだろう?主人お疲れ様。」
「ありがとう、白虎。玄武もお疲れ様。」
「主のお役に立てたのなら、妾は嬉しい。」
私の周りには、神将達が傍に集まり囲む。
〈ひぃさま、俺は結界の状態を一応確認してくる。〉
〈ありがとう。〉
と言って離脱。
一先ず琥珀には春宮さま達のもとへ運んでもらい、それ以外のメンバーは姿を消し傍に控えるようにした。
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