3
翌日晴明さまと遺書に再び内裏の主上の元を音連れた私に、主上は非常に驚かれた。
何せ私の今の格好は晴明様と同じ白の束帯を着ているからだ。
女性が男性の衣装を着ることは決してないこの時代、私の格好は有り得ないのだろうということは重々承知している。
実際男装をして思ったのだが、時親様にどことなく似ていると思った。
それは、晴明さまもそう思ったらしく、親戚の子供として紹介する事となった。
「
「はい、その方が色々動きやすいので。」
「あまり、無理はするでは無いぞ?」
「心得ております。」
にっこりと笑みを浮かべ返事をしたものの、陛下の顔は複雑そうな心境と言った感じだ。
「父上お呼びとの事でしたが。」
「春宮か、入って参れ。」
「はい。」
御簾の外から心地よい声音が聞こえ1人の若い男性が入ってきた。
この人が春宮、敦仁さま。
確かにこの容姿だと女性にモテるだろうし、何より纏っているドス黒いものは通常の人が纏うものではない。
それとも内裏にいればそうなるのが普通なのだろうか?
ちらりと晴明様を伺えば困ったような表情をしていた。
普通なのだろうが、近頃の騒ぎも含まれているといった感じか。
めんどくさそうな感じがするが、生活の為に頑張ろうと思う。
「例の件、生命ゆかりの陰陽師時平に付いてもらう。内裏の事など教え、過ごすように。」
「承知いたしました。てっきり誰か女御として入内させるのかと思ってました。」
「それは逆効果とのことで、諦めた。女御は後々。」
「承知いたしました。」
「時平。」
「はい、主上。」
「春宮を守るように。そして何かあれば余を頼りなさい。」
その言葉に周りに控えていたものたちがざわついたのが空気で伝わった。
今の話私は男装しているから、まだマシだおるが、これが女房や春宮さまの女御とかでいたのなら、あらぬ誤解は受けただろう。
「承知いたしました。私の持てる力で春宮さまをお守りいたします。」
その返事に主上は満足そうに頷いた。
とりあえず第一段階はクリアと思いたい。
あとは、春宮さまとの距離感、信頼を得て、打ち解けなければならない。
私はただの陰陽師だ。
晴明さまみたいに、“稀代の”というブランドはついていない。
今の私にあるのは、安倍晴明の縁者で晴明のお墨付き、主上の後ろ盾、擁護をされている陰陽師ということだ。
それに、十に火音絵よりも今の陰陽師の正装の方が着慣れているから問題はない。
さて、あのドス黒いモノの元凶を探すと致しますか。
紫宸殿を辞したあと、春宮さまの後を黙ってついていく。
頭の中に叩き込んだ内裏の地図を展開していく。
おそらく春宮さまのお住まいは、昭陽舎通称、梨壺はここから北東に位置して位置していたはず。
そ俺にしても、このドス黒いものがさらに字濃ゆくなっているのは気のせいじゃないと思う。
周囲を経過しながらも、春宮さまを追う。
黒いものの正体は確実に高級に原因がある、呪いの類いなのは間違いない。
ざわりっ。
私どのに出た瞬間空気が変わった。
周囲を見渡し、結界の綻びがないか探す。
「春宮さま!!」
長身の春宮さまを後方へ引っ張り、春宮様の前に体を滑り込ませ、太刀をぬきそれを受け止める。
ガキン!!
とした音が響くと同時に黒い塊が姿っを捉えると素早く印を結ぶ。
「オン!マカラギャ、シュニシャ、ソワカ!かのものの姿を捕らえよ!!我が太刀は破魔の風、悪きものを切り裂け裂破!!!!」
わた足を中心に風が生じ、カマイタイチのような風を叩きつける。
立て続けに印を結び黒い塊を避ける。
「白虎!追え!!!」
側に控えていた、白虎に名を下す。
「時平!」
後方からやってきたのは、結界の綻びと先ほどの私の冷気を感じてた晴明さまだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます