ある違法バイトの話・前編(M/F、理不尽、公開ショー、鞭)
この世界においてスパンキングは、古来より神話に倣い「女性を正すための懲罰」であり「愛情を確かめるための行為」としても定められてきた。
法律や常識によって厳格なルールが設けられ、正しく行われる限り決して暴力とはみなされない。
もちろんスパンキングメインの“そういう”店は存在するし「エンタメや娯楽としてのスパンキング」も当たり前のように存在するが、それでもそれは叩かれる側の女性が自ら望み承諾した場合に限られ行政の承認を得ないと運営できない。
だが、世の中には暴力としてスパンキングを行う犯罪者も少なからず存在する。
***
その女性が見つけたのはとある店の【高額時給・夜のみのシフトの簡単な接客!】のアルバイト募集だった。
普段の生活では到底稼げない額に目を引かれ、少し不安を覚えつつも面接に足を運んだ。出された契約書には細かい文字がびっしり並んでいたが、流し読みして署名してしまう。
――これが運命を変えるとは、その時は夢にも思わなかった。
初出勤の日。案内された先は煌びやかな照明に照らされた舞台裏。
「え……接客じゃなかったの?」
制服のメイド服を身に着けたら困惑する間もなく、スタッフに腕を掴まれて壇上へ押し出される。
そこにはすでに数人の女性たちが整列しており、彼女たちは皆、同じメイド服のような制服を身にまとって全員顔は暗く俯いている。
「おまたせしました!本日のメインショーです!」
司会役の声と同時に、幕が上がると観客席からは歓声と拍手が響き渡る。
幕が上がるとスタッフたちの手で、客席を見ていた並ばされた女性達を後ろを向かせてスカートが一斉にめくられ、下着が次々と露わにされていく。
「いやっ……!やめて!」
新人の彼女だけが必死に抵抗したが、男たちに両腕を掴まれ、強引に立たされた。
そして下着がずり下ろされ、観客に向けてまだ白くて無垢なお尻をさらされる。
「きゃあああっ!」
あまりの事に女性が叫ぶと客席からは喝采と口笛。彼女の頬は羞恥で熱く染まり、震える足は今にも崩れ落ちそうだった。
やがて「ショー開始!」の合図とともに、舞台上に響き渡る鞭の音。
バシィッ! バシィッ!
一斉に打ち据えられたお尻に、女性たちの悲鳴が重なる。
「痛いっ!」「やだぁ……!」「あぁっ!!」
観客はその様子を見て酒を煽り、さらに声を荒げて盛り上がった。
新人だけはなおも逃れようともがいたが、がっちり腕を押さえ込まれたまま容赦なく鞭が振り下ろされる。
「いだぁっ!やめてっ!いやああっ!」
涙を流して叫ぶ姿に、客席はさらに狂喜乱舞し、全員のお尻が鞭で真っ赤に腫れるとショーが終わった……がその時司会が声を張り上げる。
「それでは本日のスペシャル!新人のワンマンショーです!」
観客の拍手と口笛が爆発する中、その彼女は再び舞台中央へと引きずり出される。
スタッフに腕を掴まれたまま、既に腫れてるお尻に何度も何度も鞭が振り下ろされる。
「やっ……痛い!いやぁぁっ!!やめでぇ……!!」
泣き叫ぶ声が響くたびに客は熱狂し、金を投げ入れていった。
***
ショーが終われば、全員が舞台袖の壁際に並ばされ、手をついてお尻を突き出させられる。
スタッフが無造作に薬を塗り込んでいくが、痛みが残るタイプの薬のため鞭の腫れは引いても痛みは引くこともなく、涙は止まらなかった。
彼女は痛むお尻を抑えながら泣きながら震える声で訴えた。
「も……もう辞めたい……!辞めたいです!!」
そういうも店長はニヤニヤと口角を吊り上げ、楽しげに契約書を開く。
「辞めたい? ははっ、甘いなぁ」
指先で小さな文字をなぞりながら、わざとらしく読み上げる。
「ここに書いてあるだろう――バイトを辞める場合は違約金百万。それに、この店のことを口外した場合も同じく百万……まぁ違約金以外の事もあるかもなぁ?」
「そ……そんな……」
彼女の顔から血の気が引き、膝が崩れ落ちる。
「契約は契約だ。逃げられねぇよ」
店長は薄笑いを浮かべ、まるで獲物を弄ぶように言い放った。
女性は声にならない嗚咽を漏らし、絶望に沈むしかなかった。
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