第3話
「だから飲み過ぎちゃだめって言ったでしょう。」
男鹿を思わせる均整の取れたスラリとした草食系の若い男は穏やかな顔をしかめてヘベレケの老人を抱えた。
「なんの、なんのワシはまだ飲めるぞ。」
「まだそんな事を!とにかく、この倒れてるヤツはなんですか?」
「悪い奴に絡まれてたらソイツが助けてくれての。返り討ちにあったんかな?知らんけど。」
老人はまた眠りモードに戻ろうとしている。
少し遅れて別の男が追いついた。クセのある燃えるような赤い髪の男は老人の傍らで頭から血を流して倒れている大介に触れると眉をつり上げた。
「何、のんきなこと言ってんですか、お年寄り。アンタを助けたこの若者は死にかけてますよ。福の神がこれじゃ、まずいでしょ!」
男は上背のある鍛え上げられた体に怖いほどの美貌。切れ長の鋭い眼差しで酒臭い老人を睨んだ。
「…」
「すみません、主様は眠ってしまいました。」
老人をおぶった若い男は申し訳なさそうに頭を垂れた。チッ。赤い髪の男は、面倒くさそうに舌打ちをした。
「仕方がない。後は俺がやっておく。貸イチ!お前の主に言っておけ!」
赤い髪の男は老人をおぶった若い男に向かって帰れとばかりにシッシッと手を振った。
若い男と老人の姿が見えなくなると赤い髪の男はあらためて大介を見た。
これは、マズイ…
赤い髪の男は大介の額に手をやった。
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