第2話
男の拳を身一つでかわしながら、大介は次に殴りかかってきた男を蹴飛ばした。そしてあっという間に3人の男達を次々と投げ飛ばし、男たちはのびてしまった。
「おじいさん、大丈夫?」
大介がのぞき込むと道の端に座り込んだおじいさんは寝ぼけ眼で大介の顔を見あげた。
「お兄ちゃん、次は熱燗でな。」
「ハイハイ、今夜のお酒はもうおわりやで。今、パトカー呼ぶからさ、下の道路まで行こう。」
苦笑いの大介は座り込むおじいさんを立たせようととかがんで、両腕を差し出した。おじいさんも手を伸ばして大介の腕を掴んだ。
「すぐパトカー来るからね。」
微笑んだ大介は立ち上がろうとした。その時、後ろから物音がした。
「この野郎、ふざけんな…」
その声に思わず大介が振り向いた。のびていたはずの男の1人がいつの間にか背後に立ち、河原の石を持った手を大きく振り上げていた。
「…え?」
ガツン!
大介は目の前が真っ暗になりドサリと倒れこんだ。大介の頭から流れる血がみるみる広がっていく。殴った男はハッとした。
「…これ、マズイやん。お前ら逃げるで!」
殴った男はふらつく仲間を助け起こして逃げ出してしまった。
目の端に映る男達の後ろ姿がどんどん小さくなる。大介は涙をにじませた。
やっと夢がかなって刑事になれるってのに
俺ってついてへん。
もう指一本すら動かせない。大介の意識は次第に薄れていった。
こんな時間、誰もこんなところ通れへん。もうアカン…
力なく大介は目を閉じた。
どれほど時間が経ったのか軽快な足音が近づいてきた。
「やっと見つけましたよ。主様、なんですか、これは⁉」
焦った男の声が聞こえる。
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