第4話 中身24歳男の女子高通い
次の日の朝、佳麗さんの白地に水色のラインが入った爽やかなセーラー服を着た。
スカートに折った跡がある所を見ると、彼女は学校でも不良の気があるのだろう。
でも、俺は真面目にやるって決めたからね、元の丈で行くよ。
真面目風味だって充分……かわいいじゃないか。
「佳麗、なに自分を見て紅くなってんの。
今日はお母さんが一緒に行って道教えてあげるから、早く支度しなさい」
「あ、ありがとう……」
佳麗さんが通っているのは、船月海浜という高校だった。
お母様は教室まで先導して、先生に事情を話してくれた。
こんなにいいお母様なのに、どうして佳麗さんはあんなに爛れてしまったのだろう。
「佳麗おはよう!」
いかにも佳麗さんの友達とおぼしき、清楚なショートヘアの女の子が声をかけてきた。
小動物っぽい可愛さだ……まあ、やっぱり佳麗さんの方が可愛いけどねっ!
「お、おはよう。……あっ、あの、あなたは……」
「本当に記憶喪失なんだね。私は深瀬小夜里だよ」
「さ、小夜里ちゃん……」
「小夜里でいいよ、いつもそうだしね」
「あ、あのっ、私って小夜里みたいな友達ともメールもLINEもしてなかったの?
スマホの住所録空っぽで、履歴もないんだけど……」
「えっ? 普通にLINEしまくってるよ」
「えっ」
「それはおかしいね。
もしかしてその江波って男と揉めて、
気絶してるうちに腹いせに消されたんじゃないの?」
ま、また俺の風評被害が……これは否定しておかねばならない。
「うーん、でも多分、あの時一回落とした覚えはあるからその時消えたんだと思う……」
「そっかあ……」
で、でも……俺になった佳麗さんが消していったって可能性はある……のか……?
いやいや、彼女がそんなことをする意味がない。
覚えてないだけで、本当に落としたかなんかしたんだろう。
LINEを再インストールすると、たしかにお父様とお母様と小夜里ちゃんと……
そしてもう一つ連絡先があった。
「この沖津舞華さんていうのは、誰?」
「佳麗と私と舞華で仲良しグループなんだよ。
あっ、今きたよ、舞華、おっはよう〜」
舞華ちゃんはツインテールで、やっぱりこのグループらしく清楚だった。
友達なのに二人ともスカートは短くないのがちょっと意外だった。
うーん、でもやっぱり佳麗さんの方が美しい!
……と思った次の瞬間、俺は彼女のある一部分に釘付けになった。
セーラー服の胸の辺りだけがとんでもなくたわわで、大きく持ち上がっている。
だっ、駄目だ、あんまりジロジロ見たら!
と思いつつも、どう頑張っても視線は強烈にそこに張り付いて離れなかった。
だっ、駄目だ、せめてニヤけるな、ニヤけるな……で、でも……
「どうしたの佳麗? 舞華のことジロジロ見て」
「い、いやその……記憶ない状態でニュートラルに見ると、舞華って可愛いんだなって……」
「えっ、そうお?」
舞華ちゃんは満更でもない表情になった。
「ちょっとお、私は?」
小夜里ちゃんがむくれ、空気がおかしくなり始めた。
やばい……色々とヤバイっ!
「ごっ、ごめん、ちょっとトイレに行ってくる!」
案の定、欲望でパンツはヌルヌルになっていた。
はぁ、見た目はこんなに清楚な美少女になっても……
元々持ってた、頭にこびりついた欲はそう簡単になくならないんだなあ……
しかも女子高生相手に……自己嫌悪。
教室に戻ってくると始業直前で、クラスのほとんどの席が埋まっていた。
あっ、あれっ……?
「ねえ、ここってもしかして……女子高?」
「えっ? そうだよ、何を今更。
あっそうか、校名に女子って付いてないから、
記憶なくしてたら名前だけじゃわからないのか」
「ヒャッホーーーウ!」
や、ヤバイっ……舞華ちゃんと小夜里ちゃんが明らかに不審な目で見てる……!
「う、うそでしょ……記憶なくしたの通り越して、人が変わっちゃったみたい……
あのよく『入る高校間違えたあ〜』って言ってた男好きの佳麗が……?」
「あっ、あのその、それはあれよ!
つい昨日、男絡みで記憶なくすなんて怖い目に遭ったから、
女子ばっかりの方が安心だって意味よ!」
「あー、なるほどねー」
ふう、危なかったあ……つい本音が出てしまったぜ。
いいかほりの女の子達に囲まれて授業を受けるなんて、まさに天国だ。
「ところで、私の席は……?」
「ああ、右からも前からも3番目のあの席だよ……左隣が私で左斜め前が舞華ね……」
ほとんど真ん中じゃねーか、より囲まれてる感あっていいなあ。
しかも舞華ちゃんが斜め前とか、もう景観として最高じゃないですか。
なのになんで小夜里ちゃんは、こんなに歯切れの悪い言い方をするんだろう。
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