第15話 監督生の『役目』

「……最後に、監督生として、皆に知っておいてほしいことがある」

 ソフィアの声は小さかったが、静まり返った教室に響き渡った。彼女は教卓の前に立ち、生徒たちを一人ひとり見つめた。

「皆が『悪』を犯さないように、私からお願いがある」

 その言葉に、生徒たちはざわついた。彼らは、ソフィアがどんな厳しい言葉を投げかけてくるのか、身構えていた。だが、ソフィアの言葉は、彼らの予想とは全く違うものだった。

「……何か困ったことがあったら、私に相談して。誰か……皆の役に立つなら、何でもする」

 ソフィアの言葉は、とても静かで、まるで自分自身に言い聞かせているかのようだった。

「何でも……?」

 生徒の一人が、少し驚いたように尋ねた。

「……うん」

 ソフィアは、ただ短く頷いた。その言葉は、まるで彼女の存在意義そのものを表しているかのようだった。

「じゃあ、魔法が上手くいかない時も、教えてくれる?」

 別の生徒が、少し遠慮がちに尋ねた。

「……私は、魔法は使えない。でも、話を聞くことはできる。……相談に乗ることはできる」

 ソフィアは、そう答えた。彼女の言葉に、生徒たちは顔を見合わせた。

「じゃあさ、勉強が分からなくなったら、教えてくれる?」

「……得意な分野なら、」

「ありがとう!」

 生徒たちは、ソフィアの言葉に安堵した表情を見せた。彼らは、ソフィアが自分たちを監視するだけの存在ではないことを、少しずつ理解し始めたのだ。

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