第14話 質疑応答

「じゃあ、監督生さんは、『善』と『悪』がわかるってこと?」

 生徒の一人が、少し挑発的な口調で尋ねた。ソフィアは、その瞳をじっと見つめ、静かに答えた。

「……わかるよ」

 その言葉には、一切の迷いがなかった。

「使い魔さんとは、どんな関係なの?というか、昨日のアレは何?」

 別の生徒が、フーヤオを指さしながら尋ねる。フーヤオは、教卓の上で楽しそうに微笑んでいた。ソフィアは、その質問にも淡々と答えた。

「……昔からいる相棒。昨日のはただの気まぐれ。特に意味はない」

 ソフィアの言葉に、フーヤオはわざとらしく顔をしかめた。

「なんじゃその冷たい言い方は!学園生活の初日という、素晴らしき祝いの席じゃぞ!」

「……はいはい」

 ソフィアは、フーヤオの言葉を軽くあしらった。その様子に、生徒たちは思わず笑みをこぼす。

「っていうか、せんせーたちからプロフィール何も聞かされてないんだけど?教えてよ」

 一人の女子生徒が、少し砕けた口調で尋ねた。ソフィアは、まるで教科書を読み上げるかのように、自分のプロフィールを口にした。

「……ソフィア・ヴェスパー。16歳。7月2日生まれの蟹座。血液型はA型」

「堅苦しすぎ、もっとカジュアルなの教えてよ」

「…………え、っと……」

 ソフィアは、言葉に詰まった。自分自身のことを、どう話せばいいのか分からなかったのだ。そんなソフィアに代わり、フーヤオが口を開いた。

「趣味は読書、特技は古代文字の解読、好きな食べ物はベリームース、苦手な食べ物は脂っこい食べ物じゃ、あと味の濃すぎるものも苦手じゃな」

 フーヤオの言葉に、生徒たちは少し驚いた顔をした。

「へー、どんな本が好きなの?」

「文芸書が多いのお。本人は特に気にしてないようだが、文芸書を読んでいる時が一番楽しそうにしておる」

 フーヤオは、ソフィアの顔を優しく見つめながら言った。その言葉には、彼女への深い愛情がにじみ出ていた。生徒たちは、ソフィアとフーヤオの関係性が、自分たちが思っていたよりもずっと深いことを知り、次第に彼女への好奇心を強めていく。

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