穏やかな日も大荒れの日も、川沿いに臨む景色に何を見る

非常に読み心地のいい作品でした。
流れを止めたくない、と思いました。ひとつひとつの言葉をじっくり胸に沁み込ませながら、お話の流れを追っていきたいと。
一気読みとも違う。静かに心を整えて、きちんと向き合いたいなと思えるような文章でした。

川沿いを舞台に、さまざまな人の人生が緩やかに寄り添ったり離れたりするオムニバスです。
三年間付き合っている彼女が既婚者だと知った人。
宗教二世の人。
平凡な日常の中で運命の相手に出会った人。
離婚後、道に迷ったままの人。
そして老人介護施設の魔女たちと、介護士の青年。
おそらく、他人から見ても分からないくらいの動揺や苦しさや浮き沈み、世間とのズレや生きづらさなんかが、淡々とした、だけどすうっと胸に馴染む筆致で綴られていきます。

日によってさまざまな表情を見せながら、止まることなくただただ流れていく川のように、人生は続いていきます。
良い日もある。あんまり良くない日もある。先が見えない日もある。
でも、いつか振り返って、良かった日のことを思い出せたらいい。
晴れやかであたたかいラストシーンに、未来への希望を見ました。

書籍で手元に置いておきたいと思える作品です。もっと多くの方に読まれますように!

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