第2話 商業ギルド


 翌日は少し二日酔いだが、なんとか朝に目が覚めたので顔を洗ってスッキリすると、抽選をすることから始める。

 F賞『力+10』だった。

 まぁ、最初にS賞が出たからね?

 朝飯はこちらのものがどう言うものか知りたいので下に降りて行く。

 カウンターに座ると、

「お待ち、モーニングだよ」

 と出てくると固そうなパンとスープだけだった。なんとかスープに浸して食べるしかなかったが味は普通だったな。

 外に出ると商業ギルドと書いてある看板があったので、そこに何かを売ろうと思う。


 ネットスーパーで宝石を見るとやはり高いので、ジルコニアの一万くらいのネックレスを買う。

 化粧箱に入っているしこちらでは売って無いだろうな。

 ネクタイを締めて商業ギルドに入って行くと役所のようになっているので受付にいき、

「買取はやってますか?」

「はい、会員の方ですか?」

「いえ、会員では無いのですが」

「では、会員になられた方がいいですのでこちらの問題を解いてください」

 見てみると四則演算で簡単に解けるので渡すと、

「全問正解ですね。それではこちらに名前を」

 名前を書いて渡すと水晶を触らされカードが発行される。

「こちらは1.2.3と商人の基準がございまして、ハル様は第3商人となり、ランクが上がると第2、第1と上っていきますので」

「わかりました」

「ではどのような品を?」

「これですけど」

 と胸ポケットから出して開けてみせると、

「……しょ、少々お待ち下さい」

 と席を外す受付の女の人。


 ドタドタと階段を降りてくるスーツの紳士?

「た、大変お待たせしました!私こちらの商業ギルドのマスターでウィルと申します」

「ハルと言います」

「ハル様ですね、こちらにどうぞ」

 と階段を上がって行くと、応接室のような場所に通される。

「な、なんでも宝石だとお伺いしておりますが」

「はい、こちらです」

 と開けて見せると、

「……き、綺麗だ……このカットの細かい仕事!しかもこの輝き!私初めて見ましたよ」

 と大袈裟だがこの国ではそうなのだろうな。


「これをお売りいただくと言うことですか?」

「はい、一点ものなので数はないですが」

「そ、それはもう十分にわかっております!んー、500、いや金貨1000枚で如何でしょうか?」

「分かりました、それでは」

「金貨1500枚!はぁ、はぁ、」

 いや、それで売ろうと思ったんだが、

「はい、それで」

「ありがとうございます!手にとっても?」

「どうぞ」

 ウィルは手袋をはめてネックレスをじっと見つめる。

 陽の光を浴びてキラキラと光るジルコニアのネックレスはさぞ綺麗に映るだろうな。


「……はぁ、息をするのを忘れてしまうほどですね」

「そうですか、それは良かった」

 ウィルはすぐに金貨1500枚を持って来てくれたので、席を外した隙にネットスーパーに1000枚入れておく。

 持ち歩くのにも一苦労だ。


「それではランクを第1級商人に変えましたので、また何かあれば売りに来てください」

「分かりました、ありがとうございます」

「こちらこそありがとうございました」

 と重い金貨500枚を肩に担いで宿屋の部屋に戻る。


「ふぅ、肩が痛いな」

 しかしネットスーパーのお金がやばいことになってるな。

 3億になってしまった。

 だが、こうなってしまうと皆んなが戦っているのに俺だけ何もしないわけにもいかないしなぁ。

 窓の外を見ていると、

「あ!ハル!」

「あ、コタロウ君」

 とコタロウ君達に会えることができましたね。

 宿の部屋に来たコタロウ、エリナ、タクミの3人と話をする。

「3人はもう出たのかと思いましたよ!」

「私達はまだ弱いから近くでレベル上げよ?」

「そうなんですか、レベル上げとは?」

 タクミが分かるように説明してくれる。

 モンスターを倒すと経験値というのが溜まり、ある一定のところまで来るとレベルが上がり力や素早さが上がるそうだ。


「へぇ、そうなんですね」

「それより『?ボックス』使ったのか?」

「はい!凄いですよ!『ネットスーパー』が使えるようになりました!」

「「「スッゲー」」」

「やっぱりチートだ!」

「私に先に買わせて!」

「はい、好きなだけどうぞ」

 と画面をエリナの方に向ける。

「すご、残高3億?」

「それは、……」

 説明すると皆んな納得したようでエリナが買ったものが届くと、

「モスある?」

「ありますね!」

「んじゃ照り焼きのセット!」

「わたし普通のセット」

「んじゃ僕も照り焼きのセットでシェイクも!」

 と兵士を待たせて、4人で食事をする。


「な!やっぱりチートだったな」

「だね!これは私達と一緒に来てもらわないと」

「どうやって説得する?」

 うーん、と考えていると兵士が痺れを切らしたようだ。

「さぁ、勇者様たちはいきますよ!」

「まぁまだまだレベル上げだからまたな!」

「はい、それではまた」

 と連れて行かれてしまった。

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