サモナーズクラン(書き直し)

あに

第1話 巻き込まれて


「……っさん!おっさん!」

 誰かの声で目が覚めます。

「ん、は、はい」

「よかった、起きないから心配したよ」

 と金髪のツーブロック、ヤンキーちっくな男の子がそう言うと、

「とりあえずおっさんも起きたし作戦会議だな」

「へ?と言うかここはどこですか?」

 周りを見ると石で作られていて床には魔法陣?のようなものがあり外に続く階段のようなものがある。


「異世界転移?召喚って聞いたことない?」

「わかりませんね、私はそっちの方は全然」

 どちらかと言うと歴史の方が得意です。

 スーツをパンパンと叩きながら立ち上がると、長めの前髪を整える。

「ちょい前に流行ったんだけど、そう言うのがあって俺たちは召喚されたみたいだ」

「召喚ですか」

「たぶん、おっさんは巻き込まれたチートだな」

「チート?」

「とにかく出鱈目なんだよ」

「出鱈目ですか?それは困りましたね」

「困らないくらいだって、それに俺たちの方がやばそうだ」

 ヤンキーくんは真面目な顔をしている。

「俺が勇者でエリナが聖女、タクミは賢者だろ?」

「まぁ、そうなるわね」

「おっさん、なんとかしてくれよ?」

 と俺に言われても俺も何言ってんのかさっぱりだ。

「え、えぇー、話が見えないんですけど」

「まぁ、なるようになるって、俺は神谷小太郎カミヤコタロウだ」

「私は東堂絵里奈トウドウエリナよ」

「僕は西原拓実サイバラタクミです」

 と自己紹介をしてくれるので、

「私は後藤春ゴトウハルです」

 と自己紹介すると、

「じゃあハルな!」

 おっさんから名前呼びに変わりました。


「とりあえず出るか、ステータスも見れないしな」

「ステータス?」

「まぁ、ここが異世界だったらあると思う」

 と私を先頭に4人で階段を上がって行くと、遠くに人がいて手を振っている。


 走ってくると金属の鎧をつけた兵士ですね。

「は、はぁ、さ、探しました。勇者様たちですね?」

「……たぶん?」

「良かった、それでは城まで案内しますので」

 と森から出て草原に出ると何名かの兵士がいて、馬車に乗せられる。

「お、おし、りが痛い、で、すね」

「しょ、しょ、うが、ないよ」

 とガタゴトと揺れる馬車に揺られて腕時計で30分ほどで馬車が止まる。

 やっと着いたかと思ったらまた動き出すので痛みに堪えまた20分ほど走ると、ようやく着いたようです。

「ゆ、勇者様がた、どういたしました?」

「馬車に乗り慣れなくてお尻が」

「『ヒール』どうですか?」

 兵士の方が何かを唱えると緑の光に包まれて痛みが引いていきます。

「あ、ありがとうございます!」

 コタロウ達もかけてもらい楽になったようだ。


「さぁ、王がお待ちになっております」

「王様?王政なんだな」

 と言いながら兵士の後について行く。

 かなり上りがきつい階段などもありめんどくさいな。

 ようやく着いたので王様の前で片膝をつくと、

「ハル?何やってるの?」

「いや、王様の前だとこうするのが基本かなって?」

「そうなんだ」

 と3人も真似すると王様は嬉しそうに、

「ありがとう、勇者達よ。召喚されてビックリしただろう。普通にしてかまわぬ」

 と言われたので立って普通にする。

「我々の王国は……」

 長いので要点だけにすると魔王が侵攻してくるからそれを止めて魔王を討ち滅ぼして欲しい。と言うことだ。

「では、選定の儀を行う」

「ここは俺から行くよ」

 とコタロウが言い最初に水晶に触る。

「おぉ、やはり勇者か!」

「次は私ね」

「聖女か!」

 タクミに押されて俺が触ると、『?ボックス』と出た。

 で最後にタクミが触って『賢者』となると、

「では、勇者殿たちは晩餐に招待しましょう。

そこの者には金貨10枚を渡すので街で暮らすがいい」

 俺は金貨10枚を渡されたが、タクミ達が、「ちょ、待てよ!あのハルはチートだって!」

「せめて一晩だけでも」

 と止めるが兵士は止まらず外に出されてしまった。


「さて。どうしたもんかな?」

 そう言えばステータスがどうとか、ステータス!

“ブゥンッ”と画面が出てくると、

ーーー

 後藤春ゴトウハル  36歳

 レベル0 ジョブ 無し

 スキル 抽選

 ユニーク ?ボックス 異世界言語

ーーー

 と出ているので、抽選を押してみるとよくあるくじ引き箱が出て来た。

 一枚引くと消えてしまう箱。

 ぺりぺりと剥がすとS賞『ネットスーパー』と書かれてありすぐに消える。

 もう一度ステータスを見たらユニークにネットスーパーが入っていた。


 気付くとあたりは赤く染まり夕方になっているので急いで街に行く。

 なんとか宿屋にたどり着くと、

「あら?不思議な格好だね。旅の人かい?ここは一泊銀貨一枚で朝食付きだよ」

「あ、ではとりあえず5泊お願いします」

「あいよ!銀貨5枚ね」

 と金貨1枚わたしてお釣りに銀貨5枚をもらう。金貨一枚10万ってとこかな?

 部屋に案内され、鍵をかけるとネットスーパーを出してみる。

 25型くらいの半透明なモニターのようなものが出て、硬貨投入口があるので金貨を入れると残高が30万になる。

「おぉ!これで色々買えるのか?」

 とりあえず今日は疲れたのでビールを買うと段ボールが“ドンッ”と出て来て開けると冷えたビールだ!

「す、凄いな!これが異世界?」

 とりあえず焼き鳥やメンチカツも買って部屋で飲む。

「ふぅ、落ち着いたけど、何故俺はここにいるんだ?」

 確か暑くて水を買う為にコンビニに入った瞬間……コタロウとぶつかって。


「え、そんなんで俺まで異世界に召喚されたの?」

 何故か腑に落ちないが、なってしまったのはしょうがない。

 と言うかこれがチートと言うものか?

 なんでもありなんだな。

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