頭が空になる訳のわからない話(1話完結)

@tyoryi

第1話

あなたはある朝、空飛ぶカボチャの上で目を覚ました。

下に広がる地面は水色のチーズでできていて、歩くたびに「ポヨン」と微妙な音を立てる。

空にはゼリーの雲が浮かび、時々ぷるんと跳ねて、虹色の雨を落としてくる。


街の住人は全員、頭に植物を生やしている。

その植物は意思を持っていて、時々話しかけてくる。「今日は空気の味を測る日だよ」とか「靴下が逆さまだと歌が変わるよ」とか。

あなたは「ふーん」と頷きながらカボチャを滑らせると、地面のチーズが弾み、空中で小さな音符がパラパラと舞った。


猫たちは、水中で泳ぐ魚と真剣にチェスをしている。

魚は紙飛行機に乗り、勝てば星を一つもらえるルール。

星を手に入れた猫は鼻で音楽を奏で、街全体にふわりとメロディを漂わせる。

あなたが通りかかると、猫たちは微笑みながら手を振り、紙飛行機の太陽がきらきら光る。


空のゼリーは時々、虹色の小さな声を吐き出す。

それを聞くと地面のチーズが光り、住人の植物帽子が揺れて踊り出す。

あなたのカボチャは突然スケートボードに変わり、踏むたびに煙を吐き、虹色の道を描きながら街を滑る。


そして街の郵便局では、手紙ではなく影を配達している。

受け取った影は、たまに住人の靴下を光らせる。

青く光った靴下は夜になると、空気の味まで少しだけ変えてしまうのだ。


ペンギンたちは小さな飛行船に乗ってゼリー雲を探索し、途中で落ちてくるハムスターたちを救助する。

救助されたハムスターたちは、空飛ぶゼリーの上でバレリーナごっこをしている。

あなたはただそれを眺めながら、呼吸を整え、カボチャの上で揺れる。

全て意味不明で、追おうとしても追えない。

けれど、不思議と心が軽くなり、脳の怒りもネガティブも、ゆっくり置き去りにされる

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