仲間のAランクパーティに殺されかけた妖獣使い、ダンジョン奥地で最強の九尾の狐に好かれる~極上グルメ料理で伝説の妖怪たちを餌付けしていたら、いつの間にか世界最強の魔境領主になっていました~
夜桜ユノ
第1話 パーティ追放
吹雪が吹き荒れる【永久凍土の大迷宮】。
その最深部一歩手前で、俺――クオン・ハーティアは突如背後から雪原に叩きつけられた。
「……がはっ! な、何を……」
冷たい雪の感触と、後頭部を殴りつけられた衝撃。
見上げれば、そこにはついさっきまで背中を預け合ってきたはずのA級パーティー『栄光の戦士』の仲間たちが、蔑みの視線を向けて立っていた。
リーダーの聖騎士ゼクスは俺に言い渡す。
「クオン、お前をこのパーティから追放する」
「追放……? な、何を言ってるんだ? 俺たちは仲間だろ……?」
俺の小さな使い魔である妖狐『フォッコ』が心配そうに「キューンキューン」とそばで声を上げる。
ゼクスの背後では、聖女のリリアナと賢者のラオンが、冷たい笑みを浮かべていた。
「仲間? どうしてアンタみたいなお荷物が仲間なの?」
「そうだぜ、お前はただの妖獣使い……いや、『マスコット』だろ?」
「マ、マスコット……?」
俺にこれ以上危害が加えられないように、フォッコが小さな体でゼクスたちに威嚇する。
「その獣とお前の存在のウケが良かったからパーティに入れてやってただけだぜ?」
「私、獣って嫌いなのよ。我慢してたけど、一緒にいるのも気持ち悪くて仕方がなかったわ」
そう言うと、リリアナがフォッコを蹴り飛ばそうとしたので、俺は慌ててかばう。
――ドカッ! ガッガッ!
「――つぅ! やめろ! やめてくれ!」
代わりに背中を蹴られ、何度も踏みつけられながら、俺はフォッコを守る。
「あっはっはっ、そんな畜生を必死に守ってバカみたい! 戦闘じゃ役立たずの雑魚キツネじゃない!」
そんな様子を笑いながら、3人は口々に言う。
「もう十分利用させてもらったわ。ここから先はアンタみたいな雑魚を連れて行くのはメリットよりもデメリットの方が多いの。帰ったらもっと強くて有能な奴を雇うから」
「いやー、困ってたんだよ。お前、弱いクセにダンジョンでの斥候役、毒の沼地での薬草採取、野営の準備、装備の整備、役立たずだとバレないように必死に頑張ってただろ?」
「冒険の準備だとかで回りをウロチョロしてる姿が周囲のパーティたちの間でも有名になってしまったからな。表立って、『追放』だとかすると俺たちのパーティの評判が悪くなってしまう」
そして、ゼクスが黄金の剣を鞘から引き抜く。
「だからここで、『不幸な死』を遂げてもらう事にした」
「ふ、不幸な死……? 何を言ってるんだ……?」
俺はフォッコを抱えたまま、後ずさる。
「ここなら誰も見てない、死体は雪に埋もれて見つからない。証拠は何も残らない」
「お前はこのダンジョンの奥地で『モンスターに襲われて失踪した』……ということにする」
「アンタの最期はちゃんとみんなに伝えてあげるわ! 一人で逃げ出して、勝手にどっかに消えたってね!」
背後であざ笑うリリアナとラオンの前で、ゼクスは剣を振り上げた。
「あぁ、お前はここで死ぬんだ、クオン。その汚らわしい子狐と共にな」
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