第3話

「はいじゃあ皆さん席に着いてくださーい」

担任が声を張り切る。

「はい起立!おはようございまーす!着席ー!」

声がとてもうるさい。

「今日は40分短縮授業4時間ですねー。はい皆さん改めておはようございます。えぇ担任の先田 遥斗ですよろしくお願いします。このクラスの担当教科は数学科ですね、とりあえず1時間目が数学、2時間目が国語、3時間目が社会、4時間目がLHRですね。1時間目と4時間目は私が担当します。これでHRは終わりです。はいじゃあ1時間目は自己紹介などでまた担当しますので教材等は何も要らないでーす」

...自己紹介?

自分の人生は終了したんだと気づいた。HRで必死に考えて考えて1時間目を迎える。


「はいじゃあ皆さん気を付けー礼!はいよろしくお願いします!え〜HRで説明した通り、この一時間目は自己紹介をみんなでしてもらいまーす」

はあ...結局何も考えられなかった。まあとりあえず適当に済ませとくか。

「この紙に書いてねー」

小さい白紙を1枚受け取った。白紙なら自由記入か?

自分は勝ったと確信した。

みんな何行も書き進めている。そんなに書くことあるか?あってもそんな書きたいか?

まあ、自分には関係の無いことだ。

書き終えた。2分程で。自分で内容を確認した。

内容はー...

「矢野高貴です。読書が好きです。」

流石に短すぎた。これだと高校生活が終わる。

「矢野高貴。読書好き。甘いの好き。」

違う

「矢野高貴です。友達などいらないです。」

違う、

「矢野高貴です。暇です。」

ちがーう!

結局、

「矢野高貴です。読書が好きで、甘いものが好きです。」

これしか思いつかなかった。しょうがない。高校生活が終わることは知ってたし...

「はいじゃあ時間です。出席番号順に言ってこうかー!」

矢野高貴だからー、30人いる。そうだ。自分の出席番号を確認していなかった。29番...

最初でも最後でもないのが1番嬉しい。


「はいじゃあ29番のー、矢野高貴君いこうかー!」

やっぱり無理だ。うん。


「ややや矢野高貴です。読書が好きでーえー、甘い食べ物が好きです。」

もう終わりだ。

「矢野君もう終わりかな?まあ大丈夫です。みなさん拍手!」

顔を真っ赤にして席につく。


そしてどうにか授業を終えた。帰りのHRが終わると同時に全力疾走で家に帰った。

特に宿題を出されたわけではないので本を読み進めた。


おやすみ。

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