数撃ちゃ当たる
おれは階段の数を数えない。
いつも使っている階段の段数が変わっていそうで怖いから。
だから1階のリビングから2階の自分の部屋へ向かう階段を登る時だって、自分を騙すように2段飛ばしに上がったり、2段上がったら1段下るようにしている。でものこのこ登っているわけにもいかない。真っ暗闇の背後になにかがついて来ているような気がするからだ。濡れた足音が限界まで近づいて来たと感じたら3段飛ばしで一気に駆け上がる。
社会人になってもこんなことを続けているのは情けないが仕方がない。不安で不安でたまらないのだ。
そんなある日いつもどおり2段飛ばしで階段を上ろうとしたら、たった1歩で2階についてしまった。多少の違いならまだしも、こんな一気に段数が変わるとさすがに違和感に気づいてしまう。
--逃げなきゃ。--
急いで自室に向かおうとすると息をするように揺れ蠢く背後の暗闇から無数に這い出る黒い手に絡まれ、飲まれてしまう。
不安の9割は起こらない。でもこんな毎日びくびくしてたら、たまにはえぐいのが起こる。
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