解毒

ぶっちゃけおれはよく寝る。てか寝すぎている。人間関係が破綻するくらいに。

小さな頃はそんなことなかったはずだ。でも大学で彼女に出会ってからというものおれは彼女といる時間以外寝ている。

彼女以外考えたくないのだ。彼女が友達と遊ぶ時、おれはねる。おれ以外の人間に見せる笑顔を想像するだけで痛烈に心が抉れるからだ。彼女がバイト中、おれはねる。疲弊した姿と物憂げな顔がおれの顔にも翳りを与えるからだ。


会う頻度が減り1日の睡眠時間が大半を占め始めていたある日、彼女と動物園へ行った。

そこで奇妙な貼り紙を見た。"ユーカリの葉不足中・コアラ活性化、凶暴化中"。


あ、なんだそうゆうことか。

ユーカリ依存症でのいらいらか、解毒に使わなくなったエネルギーがあまり余っているのか。活性化の原因はどっちだっていい。ユーカリに割いていた分のエネルギーはどこに向かうのか、愉快に踊り、獰猛に跳ね回るコアラに問いかける。


そんな帰り道、ふと寄った居酒屋で彼女の酒に毒を盛った。氷とともに溶けたそれは長い眠りにつく時の沈む感じによく似ていた。今日みる夢は悪夢だろうか。それとも寝ずに活性化できるだろうか。

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