第12話 決戦

防災無線室。深夜、副町長が苛立ちながら姿を現す。


「金か……現職町長派か……嫌がらせにも程があるな」


無線室の壁や机には怪文書のコピー。「裏金」「殺人」「偽装工作」――恐ろしい言葉が並ぶ。


「クソっ! 何度も指定した場所に貼りやがって! ふざけるな!」


怒りに任せて文書を剥ぎ取る副町長。


その場に未来が現れる。


「そんなに見られて困るものなの?」


副町長はギョッとして声を荒げた。


「……貴様か! こんな紙切れで俺を脅すつもりか!」


「ええそうよ! 私は未来から来た未来人なの。未来では悪人を過去で処罰できるのよ――未来刑事よ!」


自分でも少し恥ずかしいセリフだが、相手を油断させるための作戦だ。


副町長は腕を組み、余裕そうに構える。


「そんな証拠はどこにある? 殺害現場には毛髪が落ちてたじゃないか。反対派リーダーがいた証拠だろう?」


「それは私のミス。でもあの髪には、今の時代では判定できない“魔法”がかかっているの。数年後、DNA捜査が始まれば、必ず私のDNAが検出される」


未来が指をビシッと突きつける。


「つまり、犯行時に残されたものと判断するのは不自然になるわ」


副町長は冷笑する。


「そんな検査が出来るのは何年も先だろ? 今お前が死ねば、そのDNAは特定できるのか?」


「ありがとう、あんたがバカで助かったわ。今ここでの会話は、隣町の防災無線でみんなが聞いてるのよ!」


遠くでパトカーのサイレンが鳴り、人々のざわめきが押し寄せる。


副町長の顔色が変わる。


「……な、なに……? どういうことだ……」


「もう終わりよ、何もかも……」

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