鳥取県立A高卒業生集団失踪事件

第1章 事件概要と容疑者調書

新聞記事①（地方紙・2008年3月15日付）

「卒業生14名が同窓会後に消息絶つ　旧A高校校舎にて」

　鳥取県○○市にかつて存在した県立A高校（2005年閉校）の旧校舎で、卒業生14名が行方不明になる事件が発生した。警察によれば、3月12日夜、同窓会と称して校舎に集まった卒業生らがそのまま消息を絶った。

　旧校舎は既に閉鎖され、立入禁止措置が取られていたが、卒業生らは無断で侵入し、当時の教室を利用して会を開いていたとみられる。校舎内には酒類や食料の残骸、靴やカバンなどの私物が散乱していたが、参加者本人の姿は確認されていない。

　県警は、事件・事故両面での捜査を進めている。

新聞記事②（全国紙・2008年3月17日付）

「集団失踪事件　同窓会の担任教師を聴取」

　鳥取県○○市で発生したA高校卒業生14名の集団失踪事件で、当時担任を務めていた長谷川律子氏（当時30代）が事情聴取を受けていることが分かった。

　同学級は在学当時から度重なる学級崩壊が問題視され、校内外で複数のトラブルを抱えていた。長谷川氏は生徒らとの関係悪化を指摘されており、一部には「恨みを持っていたのでは」との声も上がっている。

　警察は、長谷川氏の関与を裏付ける証拠は今のところ確認していないが、事件当日の行動履歴について詳しい調べを進めている。

新聞記事③（夕刊タブロイド紙・2008年3月20日付）

「同窓会に出席せず…唯一の生存者、女性も失踪」

　集団失踪したクラスの中で、ただ一人同窓会に参加していなかった卒業生・加藤一花さん（当時23）が、事件発覚後に自宅から姿を消したことが新たに判明した。

　一花さんはここ数年、鬱病により自宅に引きこもっていたとされ、当日も旧校舎には行っていないとみられていた。しかし事件から数日後、部屋から忽然と姿を消し、現在も行方不明となっている。

　父親の加藤一郎氏（精肉店経営・48）は「突然いなくなった。娘は弱い子だ、事件とは関係がないと思う」と語り、憔悴の色を隠せない様子だった。

警察内部報告書（抜粋・2008年4月2日付）

件名：旧A高校における集団失踪事件について

1. 発生日時

　2008年3月12日夜から翌13日未明にかけて。

2. 発生場所

　鳥取県○○市　旧県立A高校校舎 3階普通教室（3年C組跡）

3. 概要

　卒業生14名が同級会と称して旧校舎に集合。

　翌朝、親族の通報により行方不明が確認された。

4. 現場状況

　- 教室内に飲食物、アルコール飲料、生活用品の残置あり。

　- スマートフォン・財布等は一部残されているが、持ち出された痕跡も確認される。

　- 争った形跡なし。施錠は外部からの侵入形跡なし。

5. 容疑者・参考人

　- 長谷川律子（担任教師）：学級崩壊との関わりから事情聴取中。

　- 加藤一花（生存者）：不参加であったが事件後に失踪。

　- 加藤一郎（父親）：精肉店経営。娘の失踪に伴い重要参考人として聴取。特に不審な点は認められず。

6. 今後の捜査方針

　- 校舎周辺の聞き込みを継続。

　- 同窓会参加者の交友関係を精査。

　- 一花の失踪経緯について重点的に調査。