第38話 学園対抗戦4 後半戦、白嶺学園と朱炎学園
「あーー……しんど」
「………」
俺と龍牙は地面で横になっていた。
「2人とも…お疲れ様!」
「流石だな、零、龍牙」
『結び』の反動で動けなくなってしまった。
日向と魁斗から慰められてちょっと回復した。
蓮斗はと言うと……
「いてててて……あー!ここいって…!」
結構攻撃喰らっていたはずなのに、まだ動けるのかずっと痛い痛いと連呼しながら、ウロウロしていた。
「痛いなら…じっとしてろよ」
「いやーだって、アドレナリン出まくってたからマシだったのに、今切れたから、動いたらまた、アドレナリン出ると思ってさ」
「いや、逆にしんどいだろ…動きすぎて」
俺がツッコむと蓮斗はあははは!と笑っていた。
「さて、次はどうする?みんな」
「うーーん…休みたいけれど」
「休めれないよねー」
「近くにいるな」
龍牙が敵の能力と気配を感知したらしい。微量であるため、位置が詳しくは分からないらしいが……
「ジリジリと来ているみたい」
「俺らバレてる?」
「多分…ね」
「はぁ……しゃあないか」
「だね」
日向と魁斗の2人が武器を持って俺たちを庇うように立った。
「私と魁斗さんで何とかしてみるね?多分、さっきの人よりは弱いはずだから」
「任せろ」
「頼んだ!」
俺と龍牙は魁斗たちに託し、休むことにした。
「れい兄……おーきーろー!!」
「うぇぇ……んんん………はぁー…もう朝?」
「何寝ぼけてんの?」
呆れたような表情で俺を見て来たのは日向だった。
「あ……終わったのか?」
「うん、ボッコボコにしといた」
そう言われて、周りを見ると、戦った跡が残っていた。地面が割れていたり、窪みができていたり、木々が切られまくっていたりと、すごい状態だった。
「マジで何があったの?レベルなんだが……」
「まあまあ、退場させたんだからいいでしょ?」
「………へい」
とんでもない圧を感じたため、素直に頷いておいた。
「回復はできた?」
「俺は……一応大丈夫そうだ。」
手を開いたり握ったりを繰り返して状態を確認したが、何も問題がなかった。
「龍牙さんは?」
「あー大丈夫だと思う」
龍牙は飛んだり、足踏みしたりして体の回復率を確認していた。
「さて、どうするこれから」
「俺たちも動けるようになったし、歩きますか」
「賛成!!」
「でもよ、残っているやつあとどれくらいだろうな…」
「さぁ?数が分からないから、数えれないしな」
「ふむ……」
そんなふうに話し合っていると……
ピーーーーーー!!!
「な、何だ?!」
「笛の音だな」
「今残っている人数が半分になりましたので、ステージの変更を行います。みなさんをその場から脱出させますので、今しばらくその場でおまちください。」
「お!ステージが変わるってよー」
「ってことは、まだ続くってことか」
「そうだな」
俺たちはその場に留まり、森から出るのを待った。
しばらくして眩しい光が目を覆った。
目を開けると…
「え?」
「マジか」
「うわーここー?」
「……やだ、マジでやだ」
俺たちの目に現れたのは、洞窟だった。
「え、ここでやるの?」
「これ、カルム同士で戦っていい環境じゃねーよな?」
「戦いあったら、音が反響して、居場所バレるぞ!」
「それは、僕たちも一緒だよ、相手の居場所が分かる」
「ふぅ……進むぞ、進まないとどうしようもないからな」
「……了解」
俺たちは洞窟の中に入って行った。
「うへぇ……ジメジメしてる〜」
「暗いな」
「だな、日向!頼んだー」
「はいはい…『ライトニング』」
日向の手から光の玉が現れ、周りを照らしてくれた。
「おお!見やすくなったー!」
「よし、進むか」
まっすぐ続いている道を進んでいくと…
ドドドドド………
キン!……ドガーン!!
「ありゃ?もう、おっ始めてるよ戦闘」
「聞こえて来たな」
「慎重に行こっか」
俺たちはそーっと近くまで向かった。
「あれか…」
「数人いるな」
「奇襲かけるか?」
「そうだな……ん?」
奇襲をかけるかどうか悩んでいると、
「なんかおかしいな」
「何がだ?」
「あの数人白嶺学園と朱炎学園の奴らだ」
白嶺学園の紋章は白色に虎の絵が描かれていて、朱炎学園は赤色に鳳凰の紋章が描かれている。
「何がおかしいんだよ、それの」
「お互いに戦いあってない」
「確かに…敵同士だよな」
「お互いに背を向けて、警戒しているのか?」
「それって……」
次の瞬間…
ドドドドド!!ヒュンヒュンヒュン!!
「おいおい!マジか!!」
とんでもない勢いで炎の球やら、電気の矢やら飛んできたのだ。
「俺らの位置バレてる!!」
間一髪でかわしたが、次から次へと攻撃が来た。
「ふっ……やっぱりいたか」
「何でバレてんのかな?」
「カルムを探知する能力者がいるのでね」
勝ち誇ったような笑みで俺を見て来た。
「カルムを探知する能力……『センス・マナ』か」
「その通り…だから、あんたらの居場所が丸わかりなんだよ」
「なるほどな」
立ち上がって、武器を構えると、俺は人数を確認した。
全員で10人いた。
相手も武器を構え出した。
「何でお互いに戦わず、俺たちに武器を構えるんだ?お前ら、白嶺と朱炎だろ?」
「ふっ……我々もお互いに戦うさ、だが、その前に、草薙学園は倒すと決めているのでね」
「……草薙学園を?」
「そうさ!お前達、草薙学園のせいで、去年、散々な目にあったからな!!」
どうやら去年にあったことを根に持っているらしい。
「いや、俺たち関係ないじゃん!」
「いーーや、原因を作った奴らと同じ学園にいるお前達も同罪なんだよ!」
意味がわからなかったが、こいつらは…いや、白嶺と朱炎の二つの学園は草薙学園を倒すことを目標としているようだった。
「はぁ……めんどくせー!!」
「とにかく!やられろ!!」
白嶺学園の1人が襲いかかって来た。
「くっ……!!」
剣と剣がぶつかり合った。
(重いな……こいつの一撃が重い!!)
キンキンッ!!ブン!!ザクッ!!
白嶺の剣が俺の肩に刺さった。
「ぐっ…いってー!!」
すぐ後ろに離れた。相手は本気だと分かった。
「どうする?れいちゃん」
「ふぅ…ふぅ…そう、だな……」
どうすればいいのか考えていたが、剣技を使う以外に方法が思いつかなかった。
「ふぅ……一瞬で終わらさないとな」
再び剣を構えると…
「くたばれ!!」
白嶺の2人が一斉に襲いかかって来た。だから
「炎龍斬破!!」
ゴォォォォォォォォ!!!
「ぐぁぁぁぁああああ!!!」
2人が退場した。
「なっ…!!くっ!」
2人が消されたことで、相手が狼狽えていた。俺たちが弱い奴だと思っていたのだろうか?
「龍牙!魁斗!やっちまえー!!」
「はぁ…命令するなよ」
「おらぁぁぁぁぁぁあああああ!!」
「海王裂断!!」
「雷神閃撃!!」
「がはっ……!」
龍牙の電気技で相手を痺れさせ、魁斗の水の波が敵を飲み込んでいった。
気がつくと敵の数が、4人になっていた。
「どういうことだ!!何で……くそ!」
敵は予想外だったのか、慌てているようだった。
「日向!蓮斗!」
「分かってるよ!」
「…やりますかー」
「ま、待てっ!!」
「月影閃光!!」
「地脈黄塵旋!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
残り4人も日向の光線と蓮斗の竜巻で退場させられていた。
「よし!おーわった!」
「ふぅ……」
俺たちが戦い終わって、一安心していると…
「やるじゃねーか」
「!!!!」
「がはっ…!!」
どこからか声がして、その声がした方を見ると…
蓮斗の背中から剣が突き刺されていた。
「蓮斗!!」
剣が抜かれて、蓮斗が倒れ込んだ。すぐに駆け寄ると、蓮斗は退場した。
「なっ……嘘だろ!」
「ふっ……いいねーその顔」
また、声が聞こえて見ると、男子が立っていた。白嶺学園の紋章があった。
「白嶺学園か」
「そうさ、俺は影仲 仙石(かげなか せんごく)2年さ、あんたら草薙学園だよな?なら、俺の敵だ、退場してくれや!」
また、すぐに姿が消えてた。
「注意しろ!気配を探れ!」
俺が声をかけると、みんな集中した。
「アホか、そんな集中してたら、見えなくなるじゃん?」
「なっ…!!ぐはっ!」
今度は魁斗の目の前に現れ、魁斗を真っ二つに切りやがった。
「てめー!!」
「待て!龍牙!」
ガッ!!
「クソ!!」
龍牙が影仲に襲いかかったが、防がれてしまった。
「いいねー、いい攻撃だった。でも、勝てねえよ?俺には」
「あ?……なっ!!」
龍牙の腕を片手で掴み、引き寄せるとそのまま、剣を突き刺しやがった。
「死んじまいな?」
「グゾが!」
龍牙も退場していった。
「マジか」
「やばいね」
俺と日向はその男子を見ていた。簡単に龍牙達を倒したから、相当の実力者であることは間違いなかった。
「どうする?」
「そうだね……どうしよう」
勝ち方が分からなかった。
「君たちは来ないのかい?なら、こっちから行くぞ?」
ドンッ!!
「なっ…!!はや!」
とんでもないスピードで突っ込んできた。
キン!!カチカチカチカチ…
「へぇー反応できるんだー」
とても愉快そうに笑いながら、俺に向かってさらに剣を振って来た。
ガッ!ガッ!!キンキン!!
「くっ……」
スピードが速いため、反応するのが遅かったら、一瞬でやられるのが分かった。
(速すぎるだろ!こいつ人間かよ?!)
「凄いねー、でも、いつまでも相手しているわけにはいかないからさ、早く退場しろよ!」
「くっ……!!そう、簡単に退場するかよ…」
「ふっ……抗う方が辛いと思うけれどね?」
余裕をかましているこいつがムカついて仕方がなかった。だから、
「あまり調子に乗るなよ?」
「は?」
俺は影仲の腕を掴むと……
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」
「なっ……!!」
影仲をぐるぐると横に振り回した。遠心力を使って、空へ投げ飛ばした。
「何を…?!」
「日向!!」
「はいよー!!」
「幻紫飛焔!!!」
無数の矢が空に飛んでいった影仲に向かった。
「くっ……!はぁぁぁぁあああああ!!!」
影仲は体を捻ると、無数の矢に対して
「黒刃竜群(こくじんりゅうぐん)!!」
ガガガガガガガ……!!!
黒い竜巻が発生し、全ての矢が弾かれた。
「うっそーん!!」
「マジ?!」
日向の攻撃が一切届かなかった。
「いい攻撃と戦略だったよ、それじゃあ、消えろ。」
俺たちに向かって攻撃を仕掛けてこようとした影仲……だったが、
「楽しそうなことしているとか悪いが、勝者は私だ。」
「へっ?がはっ…!」
「れい兄!!」
俺の後ろから声がしたと思ったら、背中を突き刺された。
「お前は……」
「ふっ…冥土の土産に私の名前を覚えていけ。私は、羽倉 綾(はねくら あや)2年だ。」
羽倉さんの制服に朱炎の紋章があった。
「しゅ、えん……」
「その通りだ…ではな」
ズルッ…
剣を抜かれて、俺は前のめりに倒れた。
「れい兄!!」
日向が駆け寄ろうとした瞬間、
「君も消えなさい」
ザシュッ!!
「……っ!」
日向も羽倉さんに斬られ倒れた。
「クソ……」
俺の意識はそこで途切れた。
「れい兄!!」
「おわぁぁぁああああ!!ここ、どこだ?!」
「……ゲートの外だよ」
「ありゃ?……そうか」
周りを見渡したら、魁斗や蓮斗、他のみんながいた。
「強かったなー」
「やばすぎ、あんなの勝てねぇよー」
みんなが口々に今日の戦闘を言っていた。
「どうかしたの?れい兄?」
俺がずっとぼーっとしていたから心配になったのか、日向が聞いて来た。
「いや、みんな生きてるなーって思って…現実だったらやばかった」
「……それは、そうだね」
結局、俺たちは最後まで残ることは出来なかった。
※あとがき
みなさん!どうも!悠真です。
今回のこの大会、一応俺も参加してたんだけれど、泰山学園の生徒に一瞬でやられて、退場させられていたよー、俺の活躍が今回はなかったから、もっと強くなるよ!
では、
次回予告するよー
次回、学園対抗戦5 強豪、泰山学園!
お楽しみに!
輝く空に、瞬く星に #元世界最強の能力者!仲間と家族と、ヒロインを救う恋愛ファンタジーバトル開幕!! ベルメール @berumeru
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