第27話 球技大会 ドッチボール

決勝戦、相手チームはバスケ経験者が数人いる。決勝となると強いチームと当たるのは当然だと思うが……

「よし!ここまで勝ち上がってきたぞ、みんな!最後だ!思う存分やって、勝ちに行くぞ!」

「「おおおおおおお!!!」」

みんなが盛り上がっていた。


「玲!頼んだぞ!」

新崎がそう言いながら俺に拳を向けてきた。だから…

「任せろ!」

俺も拳を向けて、くっつけた。

勝つために、暴れることを決めた。

ピーッ!!

開始の笛が鳴った。


「わぁぁぁぁぁあああああ!!!」

「すげーよ!この試合!」

「両チーム頑張れ!!」

「勝てーー!!」

歓声が凄く聞こえてくる。

今、点数が同点で、あと数分で終わる。

両チームの選手同士が息を荒げて、疲れ果てていた。

「くっ…このままではバテて使えなくなりそう。どうすれば……」

新崎と国光が活躍しているが、流石に相手も強いため、うまく動けなくなってきていた。

(ふぅ…どうにか気合いを入れ直さないと…)

俺は相手の様子を見た。向こうもかなり疲れてきているのだろう、息が荒かった。

(翔は…まだ、動けそうだな、なら…)

俺は新崎と国光が切り込んでくれることを願い、相手チームの死角を使うことにした。


新崎がボールを持って走っていた。相手チームの選手が、新崎からボールを奪おうとしていた。新崎はすぐにそばにいた国光にボールを渡した。

国光はボールを受け取ったあと、クルッと回って相手をかわし、リング近くまで向かった。

シュートしようと飛ぶと、相手チームも飛んできた。だから、国光はボールをシュートせずに、その途中で右にいた、翔にボールをパスした。受け取った翔はすぐに飛んでシュートしようとした。すると、それを知っていたのか、相手チームの1人が高く飛んでボールを弾いた。

「やべっ…!」

翔が慌てたような顔をしていた。相手もこれで勝てる!って思っていたのだろう。だが…

バシッ!

「なっ……!!」

「!!!!」

弾かれたボールを翔の後ろに隠れていた俺が、キャッチした。そして、そのまま、ボールをシュートした。

翔と相手チームの選手を通り過ぎて、ボールがリングに入った。

「よし!!」

ピッーーーーーー!!!

そして、試合終了の笛が鳴った。


「「わぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」」

「すげーよ!!」

「勝った!!」

クラスのみんなが叫んでいた。

俺たちはチームで集まった。そして…

「「しゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」」

雄叫びを上げた。

「俺たちが優勝だー!!!!」

「うぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」

大歓声の中、新崎と国光、翔や他のみんなが俺の方を見てきた。

「やったな!玲!」

「あのシュートはナイスだわ!」

「すげーよ!玲!」

新崎とハイタッチした。

「今日のMVPは玲かな?笑笑」

みんなが笑っていた。

「みんなも頑張ったから、優勝出来た。みんなMVPだろ?」

「あはは!そう言ってくれると嬉しいぜ!」

「さて、バスケで頑張ったし、あとはドッチボールと女子のソフトボール次第だな」

「勝ちてぇなー!!」

「よし、次のドッチボールに向けて、みんなで集まろう!」

俺たちは体育館を出て行った。


「お疲れ様ー!男子ー!」

女子のみんなが出迎えてくれた。

「おう!優勝したぜー!若鷺先生!勝ったぜ!」

新崎が若鷺先生に向かってピースしていた。

「うわぁぁぁぁぁあああああんん!!ざずがだよー!!!」

若鷺先生はわんわん泣いていた。

(そんなに感動することだったのか?まあ、いいけれど、涙脆い先生と思っとこ)

若鷺先生が新崎や国光を抱きしめていた。

「そういえば、女子はどうだったんだ?」

翔が女子に聞いていた。

「ふっふっふっ…見よ!男子!」

女子の1人があるものを見せてきた。それは…

賞状だった。

「おおおおおーー!!!」

「頑張ったよ!私らも!1位は取れなかったけれど、3位になったから、これでもいいでしょ?」

「もちろん!すげぇよ!女子も!」

「俺らのクラス強くね?」

「それなー!」

クラス全員が嬉しそうな顔をしていた。


「さぁ、次はドッチボールだぜ!みんな、気合い入ってるか?」

ドッチボールに出る人たちが円陣を組んで、一丸となろうとしていた。

俺はドッチボール担当ではないため、観客席から応援することにした。

ドッチボールには、花宮さん、若葉さん、神楽坂さんの3人が出ていた。何でも、花宮さんは運動ができる方らしく、ドッチボールに自ら立候補したらしい。若葉さんは、翔とのことがあってからだろうか、色んなことに挑戦する勇気が現れ出したらしい。前まではドッチボールに参加することがないと思っていたらしい。けれど、自ら立候補して、ドッチボールに参加することにしたそうだ。神楽坂さんも若葉さんに付き添ってやることにしたみたいだ。

「よろしくね?桜ちゃん!」

「うん!よろしく!風香ちゃん!梓ちゃん!」

「よろしく…桜」

3人ともいつの間にか仲良くなっていた。


「さぁ、それでは、全学年でのドッチボール大会を開催しまーーす!!」

「「わぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」」

司会の人の言葉で、生徒みんなが大盛り上がりになった。

(うわー、ただのドッチボールなのに、めっちゃ盛り上がってる…えぐっ…)

俺は疲れのせいか、みんなと同じようにはテンションが上がらなかった。

翔や他のみんなはまだ、元気みたいで、楽しそうだった。


1回戦は、同学年との対決になった。

男子も女子も10人ずつ選ばれているらしい。

「さぁ!勝つぞー!」

「おおおおおおおお!!!」

新崎の声にみんなが叫んでいた。

(さっきまで死にそうな顔してたのに、もう元気になってる…あいつの体力すご!)

俺は新崎達を応援することにした。


「ううう………くやじい〜〜!!」

「つ、強かったな…」

「負けちゃったー」

1回戦敗退…俺たちの夏が終わりました。

(いや、夏じゃないけれどな、9月だし)

男子も女子も必死に勝とうとしていたけれど、相手チームの方が強かった。

でも、出場したみんなはとても楽しそうだった。終わった今でも、清々しそうだった。


「これにて、球技大会を閉幕いたします。みなさんお疲れ様でした。」

「疲れたー」

「あははは!!確かに、部活の時より頑張ったかも!」

「いやいや、部活の方をしっかりやれよ」

教室に戻った。


「はぁー疲れたなーもう、動けない…」

新崎が机に突っ伏していた。

「お疲れ様、新崎」

「おう!お疲れ!MVP!」

「誰がMVPだ!」

「あはははは!!」

「お疲れー」

「お!光輝!MVP様の登場だぜ?」

「はいはい、お疲れ様、白鳥」

「お疲れ」

新坂と国光と3人で談笑していた。

「お疲れ様!3人とも!」

「お疲れ様ー花宮さん、若葉さんと神楽坂さんも」

「うん!お疲れ様!」

「…お疲れ様」

花宮さんと若葉さんと神楽坂さんの3人が参加してきた。

「おーっす、おつかー」

「おせーよ!翔!」

かけるも後から合流して、俺たち7人が揃った。


「いやー今日はまじで疲れた、女子も男子も強すぎるわ!」

「あはは!確かに!」

「玲が1番活躍していただろ、あの決勝戦のシュートは凄いわ」

「そうそう!あれ、凄く良かったよ!」

「あ、ありがとう…」

みんなに褒められて、少し照れてしまった。

「女子も強かったし、賞状もらえたし!今日はいいことだらけだー」

「だな…」

「来年もこのメンバーで球技大会したいなー」

「いや、変わってそうじゃね?メンバー」

「あはは!確かにー、でも、楽しかったから、いい思い出だね?」

「うん!」

「さて、楽しんでるとこ悪いんだけれどさ、球技大会の次は、あれが待ってるって忘れてないですか?」

はなみかがそう言ってきた。

「ああ…分かってるよ…あれだろ?」

「うん、あれだよ?」

「せーの!」


「中間試験!」

「体育祭!」


「「え?」」

花宮さんと新崎がお互いにキョトンとしていた。

「いやいやいや、中間試験でしょ?あと、2週間だよ?」

「いやいやいやいや、体育祭だろ?!球技大会の後に待っていることといえば!」

また、2人ともキョトンとしていた。

「どっちもあるんだろ?とりあえず、新崎…俺たちは中間試験を頑張ることだ」

「ちょいー!!玲!中間試験のことを頭に入れるんじゃないよ!」

「いや、入れなさいよ」

神楽坂さんがすかさずツッコんでいた。

「いーーやーーだーーー、中間試験なんて何であるのーー?!」

新崎のイヤイヤ期が来た。

「はいはい、また、勉強するよー」

若葉さんが新崎を止めていた。

「よし!帰ろー」

翔の言葉にみんなが動いた。


「空、赤いなー」

「綺麗な夕焼けだねー」

みんなが歩きながら、外の空を見ていた。

「あ、そういえばさ…風香、梓、2人とも練習するって言ってなかったか?」

翔が唐突にそう言った。

「練習?」

「ほら、ピアノの…」

「ああー、そうだった。」

「ピアノの練習しているの?」

花宮さんが聞いていた。

「うん!私、好きなバンドがあって、そのバンドの曲をピアノで弾けたらいいなーって思っててさ!」

「へぇー、何のバンド?」


「フォクシード!」


ビクッ!!

俺は心臓が飛び上がるほどにビビった。

「フォクシード?!私も好きだよ?あのバンドの曲!」

「え?!本当?!何の曲が好きなの?」

「いっぱいあるんだけれど…

1番は[On the Wings of Tomorrow]!!」

「え!一緒だー!」

花宮さんと若葉さんが盛り上がっていた。俺の心臓がまた、飛び跳ねた。

「俺も知ってるぞー有名だよなー」

「だな、1人の時よく聞いてる」

新崎と国光も知っていたらしい。

「いつか、会ってみたいなーフォクシードに」

「私もー生歌聴いてみたいよね?」

「ねー!」

俺はヒヤヒヤして仕方がなかった。

だけど、こんな風にフォクシードを好きだと言ってくれる人達がいることに、俺は嬉しさを感じていた。

だから…


「きっと、会えるよ!フォクシードに!」


「えへへ!会えるかな?会えたら、めっちゃ嬉しい!!」

「うんうん!」

若葉さんと花宮さんが嬉しそうな顔をしていた。

「うん、きっと…いつか…ね?」

(まあ、もう、会ってるんですけれどね?)

俺は内心そう思いながら、みんなと帰宅した。


※あとがき

球技大会、男子1位取りました!!

いや、白鳥くん上手すぎ!


次回、大迫力の体育祭!

お楽しみにー!

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