第21話 追跡大作戦!

「あれ、大丈夫か?」

「どうだろう……まあ、あの2人だから大丈夫だと思うけれど…ううう…やっぱり、そうなのかな……」

「ま、まだ決まったわけじゃないでしょ!!……あ、移動したわ!私たちも移動するわよ!」

「はーい」

「う、うん!」

はいどうも、玲です。今、若葉さんと神楽坂さんの2人とショッピングモールに来てます。

何でこんなとこに2人といるのかと言うと……


「ねぇ、轟くん、このマグカップ可愛いよー」

「ほ、本当だ!可愛いね?あ、こっちも可愛いよ?」

「本当だ!可愛いなぁー」

まあ、この通り、翔がデート中なんです。

お相手は……花宮さん!

まあまあ、嬉しそうな顔してますわー翔。

まあ、こうなった理由はー昨日の学校での出来事……


「ふぁぁぁあああ……はふっ、ねむーい」

俺は学校の机に突っ伏していた。すると…

「あ、あの轟くん、お願いがあるんだけれど……」

「へ?」

驚いている翔の声が聞こえて、俺はその声の方を見た。そこには、翔と…花宮さんがいた。

(おいおい!マジか!花宮さんが翔のとこに行ってる!!)

「ちょっと付き合ってほしいの…」

「え!」

翔がすごく驚いていた。

「あ!…つ、付き合うってそう言う意味じゃないからね?」

「……あ、ああ、うん、わ、分かってるよ」

(あれま、違うって言われてる…大丈夫かな?翔)

「付き合えばいいんだよね?どこに?」

「えっと…お買い物に…」

「……分かった!それじゃあ、時間どうする?」

「えっとね……」

2人が話し込んだのを見ていた俺はイベントの予感がした。


「ふむ、買い物みたいだなー」

「そうみたいね」

「うう…楽しそうだなぁ…」

ま、と言うわけで来ているのですが…

何故か若葉さんと神楽坂さんがいます。

まあ、俺があの2人の尾行をしていた時、たまたま、2人も尾行していたらしく、ばったりあったため3人で尾行中です。


「何で花宮さん、翔を誘ったんだろう?」

若葉さんが疑問を口にした。

「さぁ?あの2人あんなに仲良かったかしら?」

2人とも翔か心配なのか、それとも、別の意味があるのか、必死になっていた。

(この2人、心配そうな顔してる…もしかして…恋愛感情が現れたか?)

俺は2人が嫉妬しているように見えた。

(ま、翔は主人公だし、2人はヒロインだし、当然か…まあ、誰が誰と付き合うか知らないけれど、応援しますかー)

俺たちは翔達の後を追った。


◾️翔 視点

俺は今、花宮さんとショッピングモールに来ている。花宮さんが買い物をしたいらしく、俺を誘ってくれた。誘われた時、俺はめっちゃ喜んでしまった。俺に気が合ったり?って思っていた。けれど、いざ行ってみると……


「ねぇ、轟くん!男子ってどんなものあげたら喜ぶかな?」

「え!えっと……お菓子とかかな?」

「そうなんだー、じゃあ、お菓子にしようかな?」

「いいと思う!」

(花宮さん、誰かにあげるのかな?それも…男子…お、俺じゃないよなー…俺だったら聞かないもんなー)

さっきから、男子の好きな物を聞いてきていた。俺にあげる用だったら、俺本人に聞かないはず…だから、誰かにあげるようだと俺は思った。もう、それだけで気分が悪くなった。

(だ、誰なんだよー、プレゼント渡す相手……俺が欲しいのにーー)

俺は心の中がザワザワした。


「ふう、買えたー!」

「良かったね」

「うん!」

すごく嬉しそうな顔をしている花宮さん。

俺はまた、心がザワザワして、ムカついてしまった。

「あ!このストラップかわいい!」

花宮さんが近くの雑貨店に売っていた、動物のストラップを見つけた。ニコイチになっているストラップだった。

「うん…これも……でもなー……よし!買っちゃお!轟くんちょっと待っててね?」

そう言って、店の中に入っていった。

「はぁ……俺、最低だな」

他の男子のことを考えている花宮さんを見て、心が苦しくなっていた。だから、花宮さんに素っ気ない態度を見せてしまった。

(阻止したいけれど、でも……はぁ、どうしよう)

俺はずっと悩んでいた。


◾️玲 視点

「あのー2人とも近すぎでは?あの2人にバレるよー」

俺は必死に翔達の様子を見ている若葉さんと神楽坂さんの2人に聞いた。2人とも翔の様子が気になるのだろう、俺の声など聞いていなかった。

「ねえ、梓ちゃん、どう思う?翔くん達のこと」

「そうね……そう言う関係じゃない?」

「そうなのかな……ううう……」

「まだ、そうと決まったわけじゃないわ…」

「そうだけれど…でも…」

「もう少し見ていきましょう」

「う、うん」

2人ともしょんぼりしている様子だった。

(こりゃあ、ダメだなぁ、まあ、あの2人が付き合ってもいいけれどだな、やっぱり、ヒロインが悲しむのは苦しいな)

俺は若葉さんと神楽坂さんを静かに見守った。


次の日、俺は何も知らなかった様子で学校にいった。

「おはよう、玲」

「おはよう!翔、どうしたんだ?なんか、元気なさそうだけれど」

「いや…気にしないでくれ」

そう翔はいうと、自分の席に座りにいった。

(なんか元気ないんだが?昨日、そんなに落ち込むことだったのか?)

俺は心配になった。


お昼休み…

「白鳥くん、ちょっといいかな?」

「花宮さん…」

突然、花宮さんが俺のところに来た。

「あの…えっと……こ、これ…どうぞ…」

そう言って、俺に渡してきたのは、包装された物だった。

「えっと、俺にくれるの?」

「……う、うん」

「見てもいい?」

「……どうぞ」

俺は中身を見た。そこには、いろんな種類のお菓子とハリネズミのストラップが入っていた。

「…かわいいな、このハリネズミ」

「ほ、ほんと?…良かったー」

花宮さんは安心しているようだった。

「ありがとう!俺にくれて」

「ううん、前に助けてもらったお礼だから」

「そうか」

俺はお菓子とストラップを見て、嬉しい気持ちになった。


◾️翔 視点

花宮さん……玲にあげるためだったんだ。

そりゃ、そうだよな、花宮さんを助けたのは玲で、そのお礼なんだもんなー

俺の中でまた、ザワザワして黒い感情が溢れてきた。

ズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルいズルい

花宮さんと楽しそうにしてるのも、プレゼントを貰ってるのも、花宮さんをすぐに見つけてしまうのも、全部ズルい!

俺は少しずつ玲を嫌なやつだと思うようになっていった。


※あとがき

花宮さんを巡って三角関係が始まるのかーー!!!

そして、幼馴染ヒロインズの恋は一体どうなるのかー


次回、プールに行く そこで歌う?

お楽しみにー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る