プロローグ1 後悔

目が覚める。顔や体がジンジンと痛む。体を起こすと、薄暗い路地にいた。

「くっそ、いってー」

痛いところをさすりながら空を見上げた。俺は思った。生きてる意味があるのかと。


親にも見捨てられ、先輩にはパシられ、持っていた所持金をヤンキーに取られるという、不幸にも程があるようなことをされ、所持金が少なかったからという理由で、ボコボコに殴られてしまった。


服は泥だらけで、顔は殴られたせいでほっぺが真っ赤に腫れていた。早く冷やさないと。そう思い、立ち上がって歩き出した。


俺は石神 玲(いしがみ れい)高校1年生で、今年の春から緑星高校(りょくせいこうこう)に入学した。そして今は、入学してからもう3ヶ月経っている。華やかな高校生活ができるって期待していたんだが、今日まで散々な目に遭っている。


まず、友達ができなかったことだ。中学の時までは、地元の友達が多かったため、悩むことがない問題だった。だが、高校は地元ではなく、隣町の緑星高校を選んだため、1から友達を作らないといけなくなってしまった。


俺は入学式の日、校舎裏で何やら話し込んでいる声を聞き、そちらに足を向けた。そこには、ヤンキーっぽい姿をした男子生徒が4、5人いて、1人の男子生徒を囲っていた。


「おう、金持ってるよね?1年生よー 俺ら金ないんだわ〜だから、さっさと渡してくんね?痛い目に遭いたくないならさー」

「す、す、す、すみません…い、今持ってないので…渡せないです…」

「ああ?カバンの中あるだろ?貸せや‼︎」怒鳴り散らされ、怯えている男子生徒を見て、俺は怒りが溢れてきた。

「おい‼︎何しとんじゃ‼︎止めたれや‼︎」走っていきヤンキーの肩を掴んだ。


「あ?なんだおまえ?部外者は黙ってろよ」「嫌がってるだろ‼︎止めろ‼︎」

「はぁ、邪魔しよって、ならお前からや」そう言ってヤンキーがいきなり殴ってきた。俺はすぐに避けたのだが、

「ぐはっ…」

他のヤンキーに殴られてしまい、数メートル吹き飛んでしまった。顔も体も痛みが生じる。「はは、こいつよっわ」

そう言って他のヤンキーが俺を囲む。そして、俺の顔を掴むと持ち上げてきた。

「お前も1年生のようやな、調子乗ってんじゃねーぞ?俺らのペットにしたろか?」

「だ…れがおまえらの…ペットになる…か、嫌に…決まってんだろ?」

「はぁ、めんどくせ、おまえに拒否権ないわ」そう言われたのを最後に俺の意識は飛んだ。


気がつくと白いベットの上だった。

「ここは?どこだ?」

辺りを見回した。薬品の匂いが漂っていた。すると、カーテンが開き外から白衣を着た女性が現れた。


「おはよう、目覚めはどう?どこか痛いとこある?」

「顔が少し痛いのと、腹が痛いぐらいですかね?」

「そう、それなら少し氷で冷やした方がいいわね。少し待ってて」

そう言って女性はカーテンの奥に消えていった。


(あれ?俺どうしてたんだっけ?たしか、校舎裏に行ってーそして、ヤンキーに会ってーってそうか殴られたんだった。だから顔とか腹とか痛いのか。酷い目に遭ったなー。てか、さっきの女性、白衣着てたな。病院とかかな?)


そんなことを考えていたら、女性が氷が入った袋を持って戻ってきた。


「これを顔に当てなさい。」

渡された氷袋を頬に当て、聞きたいことを聞くことにした。

「あのーここはどこですか?」

「ここは保健室よ。あなたが倒れているところを生徒が見つけて、ここまで運んできたのよ。私は保健室の先生をやってる白草 椿(しろくさ つばき)よ」

白草先生は近くにあった椅子に座って淡々と質問に答えた。

「とりあえず、大きな怪我はしていないようだけれど、何かあればすぐに病院に行くのよ」

そう言って白草先生は去っていった。

俺はベットから降りて、保健室を出た。


(はぁ、最悪だなー入学式の日にヤンキーに殴られて…体いってー)


それから、教室に戻ると、教室のみんなから注目を浴びた。


「おう、石神。体は大丈夫か?大丈夫そうなら、自分の席に座れよー」

俺に声をかけた人は俺の担任、河原 康(かわはら やすし)という先生だ。身長は男性の平均ぐらい、髪の毛が茶色のツンツン頭で、少しガタイが良い先生である。スーツ姿で教卓の後ろに立っていた。

「はい…」すぐに席に着くが、周りはヒソヒソと小声で話している人が何人かいた。

「先輩と喧嘩したらしいよ…」

そんな声が聞こえてきた。

(はぁ、したくてしたわけじゃないんだよ)

そんな風に思いながら、先生の話を聞いていた。


あれから3ヶ月経つが、俺が入学式の日に起こしたことで未だに悪い噂が流れている。ヤクザだの、ヤンキーに喧嘩を売っただの、嫌な噂が流れ続けた。その結果俺は友達ができていない。


さらに、ヤンキーの先輩にあの件以降目をつけられており、俺を見かけたら、すぐに呼び出してくる。そして、

「おい!炭酸買ってこい!俺らの人数分な」「なんでですか。自分で‥」

「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ!また、ボコされてえか?ああ?」

「…分かりました」

すぐに買いに行くけれど、人数分買うせいで俺のお金が減るし、持ち運びにくいし、しまいには…

「持ってきました。」

「おせーよ、早よもってこいや!はぁ、とろくさいなー」

そんな風に怒鳴られ、飲み物を奪われる。

「んー不味いな。おい、ちゃんと冷えたやつ買ったんか?こんな飲み物俺らに渡すな‼︎」

そう言って理不尽に殴られる。そんな日々が続いた。


そんな学校生活をした後の放課後、家に帰ると…

「ただいま…」

「はぁ、帰ってきたの?なら、さっさと家のことやってよ。溜まってるんだから」

家のことをやれと言ってくるのは、俺の母親、石神 早苗(いしがみ さなえ)だ。茶色の髪をボブにしており、ノースリーブのワンピースを着ており、濃いめの化粧をしている我が家の山姥である。くっそきつい香水で家の中がとても臭い。


「分かったよ。すぐにやるよ」

そう言ったものの気持ちは沈んだままだから、やろうという気持ちにはならない。ゆっくりやろーって思ってたら、俺の脛に蹴りを入れられた。

「いって!!何すんだよ!」

「あんたがチンタラしているからよ!早くしなさい!」

「母さんがやればいいだろ!そこまで言うなら!」

「これは、あたしの仕事じゃなくてあんたの仕事でしょ?!なら、ゆっくりやってないで、早く終わらして!やることたくさんあるんだから!!」

何度も何度も脛を蹴ってくる。むかついた俺は1発殴ってやりたくなったが、殴ったところでどうすることもできないため、しぶしぶ家事をすることにした。


こんな母親と一緒に住んでいて俺は心が疲れていった。あと、俺には父親はいない。俺が幼稚園に通っていた頃、母親と離婚している。当時は父親がいないことが悲しくて、泣くことが多かったが、今では、この母親のせいで離婚したんだろうなと思う。


俺はこんな世界で生活しているが、日に日に思う。俺生きてる意味あるのかな?って


※あとがき

初めて執筆しました。最初とても暗く辛い話があります。また、プロローグ後も少し辛い話が出る可能性があります。ご了承下さい。(必ずハッピーエンドの話にします。)最初は悲しいですが、後から面白いと思ってもらえるようにします。

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