6:コウベ 対 MΘNΘCERΘS その10
ぎゅるりっ!
―――
地面についていた
少女は
ヴォン!
前腕と上腕。その間に発生した、爆発的な
曲がる
腕に浮かぶ黒い点線。コスチューム表面を切り取る
そのせいか、オレンジ色の放電は
「表面
「あの、”
「そうね……”
「そう考えっと、……ヒソヒソ……ちょっと
”
―――上半身の回転によって、斜めに振り下ろされる拳。
チィーーーーーッ、
遅延信管は正常に作動し、弾かれた青黒い
「
コウベは体が回転するまま、
「―――のと
プロトたんの、両サイドに『
その映像の中で大写しになった、コウベの蹴りは、上体の回転に
振り抜けなかった脚を、そのまま、ヒョロヒョロと下ろす。何とか、得意の
裏拳を、このまま振り抜くと速すぎて、
コウベは、肩を回転と
それでもタイミングが早すぎて、命中しそうに無い。
踏み降ろしたばかりのコウベの蹴り足へ、
バリバリバリリッ!
ドゴッ!
直線的に射出されたブーツの
コウベは、降ろしたばかりの、不発のキックを”
ーーッ、ピピッ♪
ようやく作動するナックルガードに搭載された
シュドドドドドドドドドッ、ガアン!
ガコーンッ♪
爆音に混じる、クリティカルヒット
プロトたんの、背後、コウベの迎撃技を、図解説明する、ガイドパネルが更新される。
キックを正常に撃てなかった為、”裏拳の攻撃判定”を
「
「でも、そのお陰で、クリティカル出ちゃったってこと!?」
「だから、……こんなん、……教えてへん……のやけど」
そして、”
パリン。パリン。
コウベの胸の、時計の針で言えば4時半と7時半の、
だが、一角獣を包み込む青黒い、”
そして、後ろ足の内の一本を、横から繰り出してきた。その脚には青黒い
―――
3撃目までは、何とか防いだが、コウベが置かれた状況は最悪だった。
流血で
不発の蹴りで、崩れたバランス。
裏拳を放ったばかりで、直ぐに撃てる次弾も無い。
”重力補正”による、自重コントロールを
ピピチュイ♪ ピッピチ♪
小鳥が、試作コード65が、直上を見上げ、何か言った。
見つめ合う少年と小鳥。
その丸い眼は、やや、吊り上がり、「ソコだ! 叩き込め!」と息巻いている様に見えなくも無い。
「コウベ! な何でもイイ! 有りったけ、ぶち込めっ!!」
驚く、VRE部一同&管理者。
金属球を介し、
ゴウンン―――輝く頭上の
少女の身体のどこか、何かの機能に、大量の送電が開始された。
裏拳から吐き出された”オレンジ色の爆炎”は、まだ放出していて、回転をわずかながらも
背骨を軸にして回転する半身。
両半身は
突き出される
これはコンボ扱いの後ろ足3連撃で―――、とプロトたんの解説が入る。
右眼を凝らし、モノケロスの一点を見つめる、美少女の頬を、演出効果の汗が伝う。
カカカカッ!
今回の爆発じみた光は、”強すぎる光で出来た放射状の影”をも、飲み込んでしまった。
チィーーーーーーーッ、信管の作動音だけが会場に届く。
「見えへん、……でっしゃろ! 続きー見せ……とくれやすー!」
と、
『決戦中に持ち込めるのは、パーティーメンバー間のチャット経由の”各種起動コマンド”程度に限られます。』
『それ以外の、VRアイテムはすべてイベント主催側で回収し、設営費用に当てられます事をご了承ください。』
という注意ダイアログくらいしか見えなくなる。
消える瞬間のポーズは奇妙なもので、上半身を低くしたまま、地上でクロールの息継ぎをしているかのような。
ピピッ♪
シュドドドドドドドドドドッン!
バリーーーーーーンッ!
光に包まれている中、蹴る一角獣と、殴る少女が激突した瞬間。
次いで
光の幻惑が薄れ、半歩押し戻された位置へ、姿を現した
左右入れ替わったが、光に
頭の上の
『
『HP_1/50』
少女の
しかも、女の子座りっぽく、ペタリ。
「―――何があったのよ!?」
「―――わからん……どすな!」
―――ガヤガヤガヤガヤ!?
勝敗を決する一瞬が見られなかったために、右往左往する、女子部員2人と
「おい
「おう
そんな中、男子生徒2人には、なにやら、思う所があったらしい。
「「―――必殺技だっ!」」
声を揃えて叫んだ!
―――へー、必殺技かーそりゃ凄いもんだなあ。ガヤガヤ。
―――お嬢ちゃん、やったじゃないのよさー。キャアアア。
現に、
ただ、女子部員2名は、
「ちょっと、必殺技ってどう言うことよ!?」
「なにか、……見えたん……どすか!?」
と
『MΘNΘCERΘS__/LV52』
『HP_1/6400000』
ビロロロ。
獣の
敵は
フラフラしている鹿頭、垂直に立つ巨大なツノ。
沸き上がる歓声の中、
ごつん。
ドズズン!
パリン。パリン。
コウベの胸に残っていた、
落ちたツノは、アイテム
『YOU SUCCEEDED IN DESTRUCTION OF THE BOSS MONSTER.』
ピロン♪
『〝MΘNΘCERΘS:LV52〟 WAS DESTROYED.』
ピロロン♪
勝者を称えるファンファーレと共に、決戦終結のダイアログが大量に表示されていく。
最近では、その実在さえ疑われて始めていた、
「
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