1:接触4
「ルフトさん、危ないかもしれないから、一応離れてて」
キュキュ、ガシン、キュキュトタタタッ。
フルサイズルフトは、小さい自分を両手で拾い上げ、廊下の奥へ逃げていく。
ちなみに10倍サイズのハンマーは、首の後ろから出してたので、背中に仕込んであったと思われる。
「……音声入力」「……開発者権限:行使」「……バイナリ時空間分割:オフ」「……エリア指定:この辺一帯……!」
彼女は、専門家のような長い呪文を唱えた。会話が、得意なようには見えない彼女は、「ぜーはー」と、肩で息を切らしている。
チキッチキキキッ。
瞬断する白色光に同期して、左右の手に交互に発光する特区における
光を増す、デバイスの
ぽこん。
『★★★★☆”設計師ヲ目視確認”チャレンジ獲得』
いつもの冗談の類なのだろうが、明確な意味は有るっぽい。
切れかかった蛍光灯が持ち直すように、白色光が点灯した。
余談だが、
ビビビッ! ボムン!
ダイアログが消えた直後、ワルコフは、古い映画風の、ぞんざいな
テーブルの端から、ずり落ちて、接地面の高低差分、落下し、
ワルコフ落下の振動で、よろめく
「―――
鈴の音のような声に迫力はなく、逆に少しだけ可憐さを取り戻した。
迫力は無いが、リアルコウベは、やる気で充ちている。
左手を前方へ突き出し、左足を真っ直ぐに伸ばす。
右手を曲げ引き絞り、ゆっくりと腰を落としていく。
「よせ、ワルコフ。実体化は無し」
「
実体感のある両手をニギニギする宇宙服。
少年達はそろって、ワルコフのクビレのない
ワルコフの黒い箱に付いたロゴは施錠されたままだ。
「もし、禁則事項に手を出したら、箱のロゴが開錠してるはず」
「じゃあ、
「でも、
「おう、
ハンマーを両手に構えたところで、
「コウベと、そう変わらなくなっちまった……」
落胆の色を見せる
ワルコフ落下の振動は、”
「むにゃん? シルシー、もっと食べられるよう?」
菓子の山から這い出し、小鳥の背中へよじ登る。
ピチュチュチュイピュイーー♪
羽を広げた小鳥は、寝ぼけた
ビュイーーーーッ♪
ビビッビビビビッ! ボボボムン!
バタバタバタバタッ! リビング中が羽根で埋め尽くされる。はた迷惑な巨大
直後、重力が適応され、テーブルの上でコウベ
コウベは巨大小鳥の爆発のベクトルを使ってジャンプ。丁度吹き抜けになっている所で跳ねたため、天井にぶつかること無く一回転。両手を広げたY字ポーズのまま、フローリングの床へ華麗に着地した。
数拍置いて、コウベの制服の、ポケットから
ピキュキュ、ピキュキュ、ピキュキュッ!
小鳥は警報のような鳴き声、つまり―――
コウベの
ボムン! 爆発するツインテールの
「なんだこの状況!?」
「一体なんだぜ?」
「試作コード……
「あっれー? その、呼ばれ方、なんか懐かしい。会った事無いけどー」
ピチュチュチュイー♪
「え? 設計師!? そういえば、
対峙し、見つめ合い、
合わせ鏡へ
「コウベッ!」
「「何!?」」
双子のような有り
返答に困った
「あーいや、ひとまず、物騒な
その、曇りのない視線は、その場の全員を着席させるのに、十二分に機能した。
バチバチと燃えさかっていた
◇◇◇
『設計士/たこ焼き大介
@Octopuscake
会話型NPC・VR装備各種。
※ご用命はSMSにて承ります。』
リアルコウベから、ちょっと折れ曲がってる名刺を貰った
リアコウが取り出したのは、ソレ一枚だけで、
ソファーには、設計士:たこ焼き大介(美少女気味)。
イスには、
隣にルフトと、子ルフト。
「これはご丁寧に。そう見えても社会人の方ですか?」
「まあ、そうどす」
なんか、眼が泳いでいるが、多少の挙動不審さ程度では、急暴落したリアコウ株に、今更変化はない。
テーブル向こうの空間に、実物大コウベ(噛みつき癖有り)と、教室で会ったときより、やや小さくなっている実物大
「そうだ、コレ、返しておきますよ。えっと、タコ介……じゃなくて、たこ焼きさん」
テーブルに、ガツーンと突き刺さる、金色に輝くナイフ。
初期フロアで、コウベに投げつけられた物を、
「試作コード……67どすね」
「アタシのダガー!」
正座していたコウベは、物理解像度の実在ホログラフィーのままだ。
テーブルへ飛びつき、突き刺さったナイフを引き抜いている。
「
そう言うなり、ワルコフは、ナイフの切っ先を
ウニョニョニョニョ!
湿度の高い不気味
「おいおい、何だか、ワルコフのハッキングよりも、酷くねえか?」
「なんてことすんのサ! 格好良いじゃないのサ!」
まんざらでもない様子で、細身のショートソードを振り回すコウベ。
「あっぶね! ……くは無えけど、おっかねえだろ! しまっとけ!」
怒られたコウベは制服のポケットから、十数センチの鞘を取り出し、刃渡り、60センチはありそうなショートソードを、
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