1:接触3
「よし。検品終わり」
玄関横の、大きく
プルピピピ、プピピピッ♪
下から生えた、全自動配送カーゴが、ゆっくりと沈んで行く。
「ごくろーさん!」
無人の
「お前は、根っからのイケメンなんだなあ……」
ガコン。ガッチャリ。
リビングとリサイクルBOXの間。玄関から続く広い廊下に、次々と並べられていった箱の数々。
配送リストと箱に付いた印字タグを照合しただけだったが、結構時間がかかってしまった。
「……11、12、13個か。結構あったぜ」
「そうだなー」
広い廊下に並べられた、色とりどりの箱を前に、
彼らを迎えたのは、6主観、約14個の瞳。
真っ白いワンピースだけでなく、そこから生えた手足もやたらと白く、白色光を余すところなく跳ね返している。テーブルの上には空瓶が
NPCの面々、計3体。ルフトさん大小1機ずつ。
彼女以外には、特に動きはない。
「アンタ、体、大丈夫か?」
再びイスに腰掛ながら
……。返答は無く、飲み終わったらしい空瓶を、テーブルの上に慌てて置いた。
代わりにルフトが答えた。
「問診シマシタガ、大丈夫ノヨウデス」
「そう? よかった! ルフトさん有り難う……さて」
気の利くルフトに礼を言い、可憐な少女(確定)に
可憐な少女は跳ねるように立ち上がり、ぺたぺたたと、
「
吐息による湿度が感じられる、その
10人にアンケートしたら10人が、「綺麗」「美少女」「小顔」「真っ白」「可憐」「妖精」「かわいい」「細い」「清楚」「優等生」と思い思いに、感想を述べるだろうが、全て好意的なモノで埋め尽くされるだろう。
その、白魚のような指先で、割と乱暴に、グリグリべたべたと、
「うわっ、うひゃひゃ、ちょっやめ!」
首を掴み、あちこち向きを変えられ、なかば抱えるように引き寄せられる。
「わっ! 顔近い! やめ! おんなじ……シャンプーのにおい!」
少年が言っているのは、初期フロアの底で、NPCコウベに抱きつかれた時の事だろう。
「おーい! いつまでやってんだぜ?」
急かされた
少女も恥じらいながら、手を慌てて引っ込めた。
「だ、大丈夫! さっきの血は、手品みたいなモンだから」
そして、クシャクシャの髪の毛のまま、ペコリ。
「ぶつかって、ごめんなさいでした」
少女は
「あてぇこそ、
装着機構が開いたままのVRHMDを、抱えるように持ち、会話を続ける。コウベそっくりの人間。
「―――外を歩い……たりしてもて、……堪忍しとぉくれやす」
消え入りそうな、か細い声。その可憐な仕草と相まって、まるで、コウベとは似付かない。
テーブル上の
「いくら、デザインが同じでもなぁ」
と、
言葉とか、
「
逆手気味に指を突き上げる宇宙服。声は、
なんか、斜めってるのは、
作り物のように整った、新型コウベの顔の中央、やや上。
少し太めの眉毛の間が、海底山脈のように
ガシャッ、ウイゥイィッ、パシャコン!
どこかを押して操作し、装着機構を閉じる。一回り小さくなったVRHMDをソファーの上へ投げ捨てた。ほぼ最新のハイテク機器にも関わらず、扱われかたが荒かった。
イスに掛けられた
彼女は、どうも、ワルコフを眼の敵にしているようだ。
「ちょっと、待った。
今まさに、ハンマーの柄を掴もうとしていた、彼女の手は空を切る。
「おらよっ、パス!」
「うおっととと!」
ぱし。
巨大なハンマーは、
裸足の足音をたて、舞う花柄のレース。
ゴツ!
「あぶねっ!」
腕ごと引っ込める
『
降りてきたハンマーの柄へ飛びつくリアルコウベ。
「やっやめろっコウベ! 危ない!」
「っ!?」どたたぺた。
「どうして、あてぇの……名前を知っ……ているのどすか?」
「へ? あ、そっくりなもんで間違え……て無いか。やっぱ、
テーブルを見るが、肝心の、”小鳥騎士”一式は、茶菓子と化したままだ。
「……
「おい、
「いや、知らねっ」ヒソヒソソ。
「今、
リアルコウベは、ポケットから
ちょっと、モタモタしていたが、
真っ白い腕に付けられた、真っ白いデバイスは、起動音を発している。女性用にしては大きすぎるデバイス。その表示板が積層表示しているのは、
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