6・5・7:ワルコフ対自動屋台7
「
名刺を受け取った先生が、書かれた名前を読み上げる。
「……フリガナ、でかっ!」
横から覗き込んでる
俺も見た。確かに、
「よく言われます」
この”出てない涎を、袖で拭いたり”する
何もないところで、様々なジェスチャーに興じる、
カッカカカッ!
ハイ・プラスチック製の地面を踏み抜いたヒールが、ステップを踏んで華麗にターン。腰に手を当て―――
「
そして、それほど
そして、強制終了は日本語で良いのに、強制起動? は英語じゃないとダメなのは、2Dゲー周りのツールも、GUIが立ち上がるまでは英語じゃないとダメっだったりするのに似てると思った。
ビクリと”
「イラッシャイマセ。ゴ注文ハ出来マセンガ、オ任セデ、ディナーメニューを―――」
「今回の件は誠に申し訳有りませんでした。コンソールからの
いささか挙動不審に、俺たちに説明する
俺たちは、テーブルから生えてる、穴のあいた
「そーですよねー。あの”輪投げ”、始めて見たとき、
勝手に色めき立ち、すぐさま肩を落とす
なんか、争点っつうか論点っつうか、着眼点が盛大にズレてる気がしたが、タイトスカートをめくって、”ほらさっき輪っかの一個を
「つきましては、お詫びといっては何ですが、こちらを、お受け取りください」
それは、ちょっと高級な質感の厚紙だった。
「そうは言っても、お預かりしている生徒たちに、もしもの事があったりしたら、ましてや
と先生はそこまで言って何か思い当たったようで、素早く眼鏡を掛けた。周囲を見回し、一瞬たじろぎ、俺たち三人を振り返る。眼鏡を流れるような動作ではずし、人差し指を口に当て「しぃーっ」をした。そして、またすぐ、
なんだ!? 特別講座初日に遅刻して、代理講師の背後の換気窓からコソコソと入ってきた時のジェスチャーそのままだ。
俺は、だらしない顔で「しぃーっ」してる
先生は、人数分の高級そうな厚紙を素早く受け取り、「―――お、お預かりしている生徒たちがぁ……、無茶な注文の仕方をしたせいかもしれませんしねぇー」
と態度を爆発的に軟化させた。
当然、俺たちは、特に無茶なんてやってない。やったとしたら、そりゃワルコフだ。
「そう言っていただけると、助かります~」
がばっと起きあがった
「調理中の料理の中で、ほぼ出来てるものを急いで、
ガチャガチャ、ガララン、ゴトゴト、ガサガサ、クルクル、パチン。
チャカチャカ、ガサガサ、クルクル、パチン。
お、手際が良くなった。目に見えて早い。
”
先生は、あらぁ、いいわね、いいわねと上機嫌だ。
どんどん積みあがっていく、折り詰め。
特区近郊の食糧備蓄を賄う為のシステムで、尚かつ
”
えっと、なんだっけ、確か、音響冷蔵の功罪で、”新鮮な食材が、生のまま3年は保存できるけど、調理したら、2時間以内に食べないと急激に味が落ちる”。
調理にも、最新技術が不必要な程、使われてて、分子構造改変を駆使した無刀切断や、音響調理法なんてのも有るらしい。
でも、特徴的な明るい赤の地色に、白色で書かれた、あの文面の内容は、読まなくても分かる。”今回の情報を、特区外へ漏洩しないことを条件に、特区内に限り、様々な便宜をはかりますよ”っていうアレだ。
特区内に半年住めば、いや、住んでなくても、一年通えば、必ず一度は、どこかで『了承』ボタン押させられる。厚紙に書いてあるボタンを押すと、
特区外では絶対にお目にかかれない、試験運用中の魔法みたいな最新テクノロジーが間近にゴロゴロしてるんだから、ココに居る以上はやむなしだ。
「こんな、カスタマーサポートっていうか、対外折衝みたいな事に、システム管理部署の人間が直接来るものかしら」
深刻な口調は海外ドラマの、吹き替えみたいに聞こえる。
「にーしーろー……そうだな」
「あの緊急事態を、蹴飛ばせる人材が一人とは思えねえ。管理者なんて重要なポストが
と、小声で、コレ又、確信を突く。
俺は、気になってた、
「それなんだけどな」俺は手を口元に当て、ヒソヒソ話しかけた。
「何だよ、顔、近ぇよ……」
「いいから、あの顔、よーっく見てみろ。見覚え有るだろ?」
俺は眼と顔で
「なに、いちゃついてんのよ、キモッ!」
「
むっとした顔を俺たちに向けた後で、俺たちを隠すように仁王立ちになる。
俺たちを隠してくれるらしい。
「火の輪っか、蹴っ飛ばした、怖ぇーねーちゃんが、どうした?」
「俺たちが最後に出た大会覚えてるだろ?」
「んあぁ? なんだ突然……又ゲーム始める気になったか!?」
声のトーンを跳ね上げて、色めき立つ。
「声でかいわよ」ぼそっ。
ごん!
「いって!」
同時に振り向く、VR専門家と、自動機械群システム管理者。
「な、何でもないわ、姉さん、よしよし」
「よし、ゲームか、そうだな、ゲームやろうな~
俺と
「触っんな! 俺ぁ猫かっ!」
青春を謳歌し、じゃれつく若者達を、一瞬眩しそうに眺めた後、すぐに興味をなくす、VR専門家と、自動機械群システム管理者。
テーブルを操作して、”
「なんだよっ、いってーな、で、大会がどうしたって?」
「ゲーマー世界選手権、東京予選で俺たちが負けた相手、覚えてるか?」
「忘れる訳ねえダロ! あの卑怯な
再び振り向く、VR専門家と、自動機械群システム管理者。
青春を謳歌し、じゃれつく若者達に、ため息を付き、話に戻る。”
「
「
と先生は、
「乙女の
張っ倒すっわっよっ! と魔王声で怒鳴りながら、俺と
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