35歳にして、初のホストクラブ!

第1話

黒を基調にした高級感あふれるVIPルーム。

鏡張りの壁や、天井に散らばるシャンデリアの輝きに、眩暈を起こしそうになる。

庶民の自分とはあまりに無縁で、身分不相応なこの空間にいるのはやはり居心地が悪い。

これは僕だけに限った話ではなく、普通の人なら誰でも感じるのではないだろうかと思う。

しかし、自分の斜め前にどっしりと構えて座る男、れんさんからはそんなものは微塵も感じない。

むしろこの部屋の主であるかのような、堂々たる風格さえ感じられる。

これが、指名ナンバーワンの人気を誇る所以なのかもしれない。


「つまり、俺さ……」


蓮さんが、にっこりと笑った。

女性を魅了してやまない綺麗な笑顔に、男でもドキッとする。


「あんたのことが……――」

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