第30話「天職とはなんだ?」

「なんかさ、あれ変な建物だねコルラちゃん?」


「いやぁ実に奇妙奇天烈ですわね」


「でしょう? 異界の建物だって仲間内でも評判悪かったんだから。あそこがアイツら恐るべき子供達の拠点だよ」


《あれは異界から召喚された学び舎。主に学問を学ぶための施設だ》


「学校ごと召喚されてきたんだろうな。自分達の拠点、アジトとなる建物が共に召喚されてくるのは大きなアドバンテージになる。だが、召喚されたということは地球の方は学校が丸ごと無くなってるわけだから大混乱だな。

 だがわからないのは、一介の生徒に過ぎない彼らがなぜそのような行動を起こしているかだ」


《それはな主。このようなファンタジー異世界に転移させられ、わけもわからぬまま授かったチート能力でこの世界を生き抜くために躍起になっているのだろう。ここから想像できることは、力の上下による階級カースト制度が敷かれていることだ。

 おそらく一番力のある生徒がリーダーとなり女子生徒を取り巻きにしてハーレムを形成していることが予想できる。後はこの世界の住人を助けたり奴隷を解放して懐柔しているかもしれんな。まああくまで予想だがね。クラス全員が強いということだから男子生徒がないがしろにされて全滅ということは無いだろう》


「ああ……学校という特有のコミュニティが生み出した行動か……」


 アンチェイサーが推測した彼らの行動理由。あくまで推測に過ぎないが、これまでの経験も踏まえて彼らの行動理由はそれで間違いないだろう。思わず頭を抱えて溜息が出そうになる。学校は社会の縮図と言われ例えられているが正にその通りであろう。自分立ち位置と振る舞いを間違えば長い地獄の生活を送る羽目になる場所だ。


「ところでアンチさん。今回も救うのですか? 召喚された人達ですけど」


「そのつもりではいる。だが、今回は大人数だから厄介だな。この世界に迷惑を掛けて勢力図まで書き換えているようだが……少年」


「なんすか?」


「その天職とは具体的にはどういう職業だ? 正直に言うと、俺は違う世界から来た者だからよくわからないんだ」


「違う世界から来たのアンタ!?」


「信じられないか?」


「いや、あんな奴らが来るんだから今更異世界の人が来ても普通だよな。納得した予。アンタら何処か雰囲気が違うし。天職というのはより強い適性があって正にこの職業に就くために生まれてきたっていう職業ね。

 この天職に就くと、戦う系の場合はより強い攻撃力や魔力を獲得して技術や能力が高い領域になるのさ。クリエイト系ならより高い防具や武器、アイテムが作れるようになるんだ。こんなんでわかる?」


「は~い、教えてくれてありがとう~ピーコくん」


「えらいえらいですわ~よしよし」


《大変よくできました、花丸》


「だから子ども扱いすんじゃねえよ!! もう何なのよアンタら! ふんずけてやるだから!!!!!」


「う~ん……天職者の子供達を一網打尽にするか作戦を考えないといけない。捕まった人達の救出方法も考えて被害状況も近隣に聞き込みをして調査する必要があるな。それによってジャッジメントの具合も決めなければいけない。案内役は君に頼むよ少年」


「え? お、おう任しとけってんだ!」

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