エピローグ

【マルチバース・ユニバース1】

 時間は夜間。


 疲れ切ったつかむは溜息交じりに家へ帰宅する。


 家の中は薄暗く、微かな電灯しか灯っていない。


 インタフェイサーが点灯し、ディスプレイにスウェンの表情が表示される。


『おかえり、つかむ……』


「ああ……ただいま……?」


 しかし、なにやら様子がおかしい事に気付く。


 何者かが自分の部屋にいる。何故部屋に侵入者がいるのかスウェンに尋ねようとしたが、彼の困ったような微妙な心境をを表わす顔文字を見た瞬間、彼もどう対応したらいいか測りかねていることを察する。


「俺がマルチフォーマーだって? ヒーローは自分達だけだと思ったか? 君は大いなる世界の一部になったに過ぎない。宇宙には様々な異世界星が存在しているんだ。この星で起こった事など異次元・宇宙から見れば小さな出来事に過ぎない……」


 薄ぼやけながらに確認できたのは、黒いトレンチコートを羽織った大柄の男性。

 後ろ頭はスキンヘッドで肌色は浅黒い。

 男が振り返ると、サングラスをしていた。


 そこで、侵入者の正体が意外な人物であることに気付く。


「……黒田さん?」


「やあつかむ君。だがその名は地球テラアースでの仕事名でね」


「なんでここにいるんですか? ……っていうか仕事名って……?」


 ようやく灯りが灯ってきた。

 それと共に黒田はサングラスを外し、その素顔を露わにした。

 左目の傷痕と、白濁した瞳。

 含み笑顔を浮かべつつ、つかむに近付き語り出す。


「私の本名はジョージア・ジョーンズ。諜報調査機関、通称アイラーの長官だ」


「……はあ……?」


 アイラー。スター・バックス捜査官が所属している組織の名。

 米国のFIBでもなければCIAでもないらしい。どの国にも属していない独自の組織と聞かされた。

 彼はシティガーディアンズの社員だったのではないか。


 だが、咄嗟に思い出す。水島から、自分達は半分異世界人だと明かされたあの日の事を。

 その事と何か関係があるのだろうか。


 状況が飲み込めず戸惑うつかむに対し、ジョーンズは更に言葉を続ける。


君達・・をトライブレンダーズに勧誘しに来た。この世界を狙う脅威はアバターだけではない。宇宙異次元からの脅威もあるのだ」

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ファンギャラ~電装戦士マルチフォーマー~ 大福介山 @newdeno

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