第44話 ★9★ 9月5日木曜日、放課後

 九月五日木曜日。

 下校しようと昇降口を出たところで上から何かが降ってきた。気付いた抜折羅ばさらこうの手を引いて抱き留める。地面にぶつかった落下物は英和辞典で、当たっていればそれなりの怪我になったはずだ。

 抜折羅は素早く見上げ、窓が締められるところを把握する。

「紅、俺は犯人を追う。しばらく離れるぞ」

「うん……」

 この期を逃すわけにはいかない。三階の窓に見えた人影は体育館方面に移動する。抜折羅は急いだ。

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