第135話 映画と眠気


 僕は映画館が苦手だ。

 暗くなるとすぐに眠くなってしまう体質だから、いつも最後まで映画を観ることができない。いつの間にか眠ってしまって、目を覚ましたら映画が終わっていた。そんな悔しい経験を過去に何度もしている。


 それでも今日こうして映画館に来ているのは、同級生の女の子に誘われたからだ。そんなことは生まれて初めてで、もちろん僕はすぐにOKした。不安もあったけれど、自分の体質を考えれば、誘いを受けても大丈夫だろうと思ったのだ。


 ところが。

 もうすぐ映画がはじまるというのに、今日に限って全然眠くならない。

 彼女と話をあわせるために、昨日は夜遅くまで映画の結末を調べていた。それなのに、どういうわけかあくびのひとつも出てこないのだ。


 さあ、はやく眠くなってくれ。

 大きく息を吐いて、力を抜く。目を閉じても、眠気はやって来ない。

 早くしないと、映画がはじまってしまう。

 僕はホラーが苦手なんだ!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る