第130話 またとないチャンス


「ねえねえ、今朝の星占い見た?」

 今日のこのチャンスを逃すわけにはいかない。私は勇気をふりしぼり、クラスメイトの男の子にそう話しかけた。


「見たよ。牡牛座、最下位だった」

「私も牡牛座なんだ。だから、朝からもうずーっと気になっちゃってて」

「占いとか結構信じるタイプなんだ」

「えへへ、結構そうかも」

「俺はいいことだけ信じるタイプかな」

「あー、それいいね」

 私は嬉しくなる。占いでは最下位だったけど、やっぱり今日はラッキーな日だ。


「そういえば、牡牛座のラッキーアイテム、アイスクリームだったよね」

 たった今思い出した、とばかりに私は言う。ここまでは順調だ。ドキドキしはじめた胸をおさえて、覚悟を決める。


 よかったら一緒に食べに行こうよ。

 あとはそう言うだけ。


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