第121話 定期テスト大作戦


 私には得意科目というものがない。テストの点数は、どの科目も平均点以下ばかりだ。だから定期テストの時期が近づいてくると、いつも憂うつな気持ちになってしまう。


 でも数学だけは、過去にいい点数を取ったことがある。だから、これはチャンスだと思った。私はイチかバチか、数学にけてみることにした。


 試験の一か月前から準備をはじめた。友だちの誘いもすべて断って、毎晩遅くまで勉強した。完璧に理解したと、そういえるくらいでないとダメだと思ったからだ。

 つらい日々だった。でも私には夢がある。この賭けに勝って、夢がかなう瞬間を思い描きながらがんばった。


 勉強を終えたのは試験の1週間前。

 なんとか間にあったと、ほっと胸をなでおろす。そして勇気を振りしぼって、教室の隅で憂うつそうな顔をしている彼に話しかけた。

「ねえ、私が教えてあげよっか?」

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