第133話 結婚のご挨拶
「そろそろ、君のご両親に結婚のご挨拶をしたいと思うんだ」
こじんまりとしておしゃれな喫茶店。そのテーブル席で、彼が言った。
彼に呼び出されたときから、うすうす予感はしていた。いつかこんな日が来てほしいと、そう願ってもいた。断る理由なんてなかった。
だけど。
まさか、よりによってこんな場所でその話をされるとは思わなかった。そのことに動揺してしまい、私はうなずくこともできなかった。
「実は、ずっと内緒にしていたんだけど。こちらのお店で、コーヒーの勉強をさせてもらってたんだ。君のご実家が喫茶店だと聞いたものだからね」
彼の話が聞こえたのか、カウンターの向こうから店主の男性がひょいと顔を出す。
私は恥ずかしさのあまり、思わず視線をそらしてしまった。
嬉しそうに話す彼に、言い出すタイミングがつかめない。
カウンターの向こうで、店主である父がにこにこと笑っていた。
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