第122話 音楽室の幽霊
「音楽室に幽霊が出るって話、知ってる? 夕方になると、誰もいない音楽室から狂ったピアノの音が聞こえて来るんだって!」
「えーなにそれ、怖い」
夕暮れが迫る小学校の廊下。ふたりの女の子が、そんな話をしながら歩いていく。
もう、そんな時期なのか。これは、なんとかしないといけないな。
用務員である私は、さっそく音楽室へ向かった。
音楽室にはグランドピアノが一台。だいぶ古ぼけているけれど、傷がつくたびにちゃんと補修していて、まだまだ現役だ。
しばらく待っていると、誰も触っていないのにピアノが勝手にドレミファソラシドと音を奏でた。その音に耳を澄ませる。わずかに音がずれていた。やはり、そろそろ調律をお願いしたほうがよさそうだ。
ピアノの音に狂いが生じると、いつもこうして教えてくれるのだ。
音楽室の幽霊はとても耳がいいので助かっている。
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