第131話 最強の矛と盾


「さあさあ、皆の衆。これに見えるは、はるか東国とうごくで作られた、あらゆる盾を貫く最強のほこだ。そして、こちらに見えるは、はるか西国さいごくで作られた、いかなる攻撃をも防ぐ最強の盾。どちらも1点限りの品だ。買うなら、早いもの勝ちだぞ!」

 

 矛も盾もあっという間に売れてしまった。この街の人間は、その矛で盾を突いたらどうなるか、なんてことを考えたりはしないのだろう。だから俺みたいな詐欺師にころっと騙されるのだ。


 ところが、一儲ひともうけしてほくほく顔で街を出ようとした俺を、とつぜん兵士たちが取り囲んだ。そして隊長らしき屈強な武人が前に出て言った。


「おまえには、逮捕命令が出ている。あのような強力な武具を、いったいどこで手に入れたのだ。もし他の国があれを手にしたら困る。さあ、来い。詳しい話を聞かせてもらうぞ!」


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