第117話 勇者の物語
ああ、そうさ。俺がその勇者と呼ばれている男だ。城の地下にある光の神殿で聖剣を目覚めさせたのは、この俺だよ。
もともと俺は城を守る兵士だった。ところが聖剣を目覚めさせたことで、次の日から勇者と呼ばれるようになった。立派な鎧と盾を装備して、王様の隣に立ったときは震えたよ。魔物と戦ったこともない俺がいったいなにをしてるんだろうって。
でも勇者があらわれたっていう知らせが世界中に広まって、みんなは大喜びだったらしいな。これで世界は救われる、勇者がいれば魔王なんて怖くないって。
負けっぱなしだったみんなが、それで勇気をふるいおこした。世界中で魔王軍への反撃が開始された。そうして人類は見事、魔王軍を撤退に追い込んだってわけだ。
誰もが俺のおかげだというが、はたしてそいつはどうなんだろうな。俺は剣を目覚めさせただけで、魔物とは一度も戦わなかったんだからさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます