第108話 犯人がわかりました


「犯人がわかったというのは本当かね?」

 洋館の主人が広間に姿をあらわすと、集められた関係者たちは不安そうに互いの顔を見あわせた。


 吹雪に閉ざされた洋館で、深夜に起きた宝石盗難事件。おそらく犯人はこの洋館にいる人物で間違いない、誰もがそう思った。


 すると偶然その場に居合わせた探偵を名乗る男がこう言ったのである。

「まもなく吹雪は止むとの予報です。その前に、関係者全員をこの広間に集めてください。誰が犯人か教えましょう」と。


 そこで洋館にいる全員が集められた。洋館に住む主人や家族はもちろん、来客からメイド、料理人にいたるまで。


「それで、犯人はいったい誰なのかね?」

 しかし主人の問いに答える者はいなかった。その場に探偵だけがいなかったのである。


 吹雪が止んだ窓の外を見て、主人が言った。

「なるほど。確かに誰が犯人かはわかった」


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