Ⅱ tachyonation

ドルフィン



闇と言えば簡単だけど

ちょっと違う

黄昏って言えば近いけど

そんなにかっこよくない

別にたいしたもんじゃない

毎日のように死にたいって思いながら生きているだけ

幸せを欲しがっては諦め

また欲しがって

末期まつごの水だなんて

毎回のように思って飲んで

馬鹿らしくて

そんなのただの水

大切な水分

何も欲しがってないふりをしながら

それでも何かを掴んだ

きみの手だった

末期の水だとか

そんなの嘘で

偽物で

ただの水

大切な水分

溜まればちょっとした海で

きみが泳げる

どうあっても幸せでしかない弱虫の僕が見つけた

ドルフィンのまばたき


エコーがはねる

何の音波かわからないのに

たまらなく落ち着く

けど

寄りかかるのはちょっと怖い

寄りかかれなくてもいい

まばたきの向こうに

安らかな眠りがあって

目覚めることを願えるのなら


ドルフィンのまばたきの中で

溺れる

どうしても欲しいと思うのは

きみがずるいからだ

どうあっても罪人だからだ

少なくとも僕にとっては


すべからく咎人とがにん

すべくくる命の音色で

すみやかにいばら

ドルフィンのまばたき

きらびやかに暖めて

きりつめた残り香で

kiss


ドルフィンのまばたき

どれだけずるいのかって

教えたくて

僕も少しばかり卑怯になる




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