兎の招待状
言葉をもてあそぶ兎
罪深いレターをしたためるよ
どうぞ詩文を
露の世を生きる儚い命
極楽浄土とは申せませんが
鳴かない兎は
一夜の慰めとはなるでしょう
どうぞあなたの
兎と詩文を綯いましょう
どうぞあなたの詩情を許して
○をつけるなら御出席のほうへ
罪深い兎が捕まる前に
あなたの言葉と踊らせて
クラッカーからチーズが飛び出すようじゃ
今日の天気は後の祭り
散歩道のつもりでお参りをして
十円玉を放り込んでも
何も降ってきやしないや
神様だって暇じゃない
僕とて言うほど暇じゃない
今日の天気は後の祭り
早めにインドアを決め込んで
パーティの準備をするが大吉
波打つ心を縫い合わせ
夏めく鼓動を鳴き交わし
極圏のオーロラにも負けやしないさ
飴玉のひとつひとつに名前をつけるのは
逃れられないあなたの役目
どうか
あなた自身の言葉で
ここまで生きてきたあなたと僕が
今さらどうやって
生になずさうことができるというのか
どうぞ今宵は共にいて
どうぞ言葉で撃ち抜いて
ひとりきりの夜に生きれば
兎は死んでしまうから
言葉をもてあそぶ兎
罪深いレターをしたためるよ
どうぞ詩文を綯いましょう
今日の天気は後の祭り
いざパーティが始まるころには
大粒のキャンディが降るでしょう
名づけられた飴玉たちは
あなたが僕に差し出す綾糸
罪から逃れる心づもりなど
いかなる価値があるのでしょうか
あなたが詩情に溺れるならば
僕はほどなく人魚の泡
お付き合い願えますか?
どうぞ
あなた自身の言葉で
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