第64話 戦闘 2
2人の戦いは、やはりというかリリーナはシエナに遊ばれていた。実力を知るという面が強いから、それで何も問題はなかった。
全力での戦闘というわけではなかったこともあり、数分で終わってしまい、対策がまとまらない状態で僕の番になってしまった。
明らかな手抜きは怪しまれてしまうため、手を抜くことはできない。とはいえ、1/100程度の力でやると明らかに手抜きに見えてしまう。
そこで、受け身でやることにした。つまり、攻撃をせず、相手の攻撃を防いで手を抜いているようには見せないようにしようということだ。まあ、親やアイリと訓練しているとき、ほとんど防御をしていたことを思い出しただけなんだけどね。ステータスが防御よりになっているのもそれが原因ということも思い出した。
「リリーナ、意外と実力がありますね。少し不安だったけど、ここまでできるなら、ついて来れるし問題ないかな?」
シエナはリリーナに対してそんな評価を言った。
シエナはそう言うと、何か考え込む仕草をして、パクトやルキのいる方へ向かっていた。
僕は、その場に座り込んでいるリリーの元に向かった。
「リリー、大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫、です」
疲れているのか、息が荒くなっていた。ただ、外傷はないようで、僕はシエナがしっかり手加減をしていることがわかった。
リリーをこのままここに放置することもできないので、僕はリリーを端の方へ運ぶため背負うことにした。ただ、それを言ってしまうとリリーが拒否しそうだったので、僕は何も言わず、リリーを無理やり背負った。
「シン様?!私は大丈夫ですから!下ろしてくださいっ!」
「1人で歩けるのか?」
僕は、そうリリーに聞いた。
「それは……」
リリーナは、それが事実なのか口ごもって黙ってしまった。
「無理なら、黙って背負われていれば良いんだよ」
「はい……」
僕が元いた場所へ戻ると、ルナは不機嫌そうな顔して、アイリはニヤニヤと変な笑みを浮かべていた。
「なんだよ」
僕は2人の顔、特にアイリの笑みが嫌でイラついて少し語調が強くなってしまった。
「別になんでもないよっ」
「いや、お兄様もリリーナに対してそんなことができるんだなって思っただけですから」
やはりルナは不機嫌であった。アイリもよくわからないことを言って、真意はわからなかった。
そのため、どんな言葉を言えば良いかわからなかった。ずっとリリーを背負っているのもおかしいので、僕はとりあえずリリーを地面に下ろした。
「シン、次はあなたよ。こっちに来てくれる?」
「あ、はい」
ちょうどリリーを下ろしたところでそう声をかけられてしまい、行かなければいけなくなった。
結局何もわからないまま、行くはめになった。そのせいで真意が気になってしまい、悶々としていた。
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