第61話 授業
結局、僕たちだけで授業が始まった。
「Sクラスの授業は、転生者を対象としているため、個人差がかなり出てしまっている。そのため、自分に合った授業を自分で選んで聞きに行くことが基本となっている」
と、ガイダンス的なことをパクトが話し始めていた。他にもシエナとルキ、アイリが待機していた。ちなみにこれを聞いているのは、シンとリリーナはもちろんなのだが、ルティーナもいた。
ルティーナは、最初少しだけしかSクラスにいなかったため、ほとんどSクラスのシステムを理解していなかったらしい。それで改めて聞いているというわけだ。
ちなみにシェンは、シンに手を出すかもしれないという理由から、自分が選択している授業を聞きに行っている。
「ただ、1日自由に選んだ授業を受けるというわけではなく、それぞれの学年に当てられた時間が用意されており、その時はそれぞれの教室で授業、というより集会のようなことをしたり、外に出て体を鍛えたり、学年毎に行動をすることもあるから忘れないように」
「はい!先生!」
「シン君、何か気になることでもありましたか?」
と、僕が少しだけふざけて先生と呼んだことに対して怒ることなく、むしろノリ良く返してくれた。
「その時間っていつなんですか?」
「それはですね。2限目です。学年がそのまま時限となっています。1年なら1限目、2年なら2限目、3年なら3限目といった感じです」
「なるほど、ありがとうございます」
「本当なら、こういう説明とかも2限目にやるべきなのだが、説明もないままいきなり授業を選ぶことなんてできないだろうからね。こうして1限目からやってるんだよ」
「ありがとうございます」
僕は、わざわざ時間を取って説明してくれているというのが、申し訳なかった。
「別にお礼を言われるようなことじゃないよ。俺たちは去年同じ説明を受けているわけだし、受けてないのは不公平でしょ?それに授業を聞くよりは楽だし」
「あはは、そうですね」
最後に付け加えられた言葉で少しだけ感謝の気持ちがなくなった。
「まあ、俺たちも全員が向上心があるわけじゃないからね」
そこで話す人が変わり、次はシエナが前に立った。
「じゃあ次は、どんな授業があるかだけど、シンもリリーナもSクラスの授業で理解できるのが少ないと思うから、理解できる授業だと今までと内容はあまり変わらないかな。ルティーナは、2人に比べれば理解できる授業も多いから選択肢は多いはずよ」
そう言って事前に準備してくれていたのか、授業の一覧が載った紙を渡された。ただ、授業名だけ書かれたもので、授業の内容までは書かれておらず、正確にはわからないようなものだった。そんな不満を言うほど僕もバカじゃない。ここまで用意してもらっているのだ、これ以上求めるのは良くない。
授業名だけで内容を判断したところ、高校生くらいまでの内容はわかっているので意外と理解できそうな授業が多かった。
そのため、いろいろ気になる授業があり、どれを選ぼうか迷ってしまった。
「とりあえず、どれを選ぶか決めて。もし何か質問があれば聞いて。私たちは次の時限まではこの教室にいるから」
そう言って、シエナが元の席に戻った。
いろいろ考えた結果、僕は基本的な授業を選ぶことにした。専門的な授業を選べば、怪しまれるだろうし、何よりルナとリリーが僕と同じ授業を選ぶとうのだ。ルナは別に専門的な授業でも問題ないが、リリーはそれでは大変だろうと思い、基本的な授業にした。それに専門的な授業は難しいだろうから、あまり選びたくなかった。
それと、基本的な授業は学園の教師がやっており、Sクラスの生徒は専門的な授業をやっているようだった。普通は逆だよなと思いつつ、やっぱり異世界人の方が知識が豊富なんだなと思った。
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