第27話 修羅場
僕たちが抱き合っているところに現れたのはリリーだった。
「ん?リリーか。ここがよくわかったな」
「そ、そ、そんなことはどうでもいいわ!その女誰よ!」
その言葉でルナもリリーの存在に気がついたみたいだ。そしてリリーを見据えながら答えた。
「私はルナよ。そしてシン君の、か、彼女よ!」
「え?シンそうなの?」
「えーと」
「もしかして私と恋人同士になるのは嫌だった?」
「ううん、嫌じゃないよ。逆に嬉しいよ」
「よかった!」
そう言いながら、更に力強く抱きついてきた。
「な、な、な、う、嘘よ!そんなの嘘よ!シンが今日いきなり会った人と恋人になるなんて!」
そう言うと何故か勝ち誇ったようにルナな答えた。
「それは私たちは今日会ったばかりではないからよ!」
そう言いながらもルナは僕に抱きついたままだけど。
「そんな、いつ会ったって言うの!」
「そんなのぜんせ——」
僕は慌ててルナの唇を塞いだ。ただ抱きつかれていて両手は使えなかったから、僕も唇を使うしかなかったけど。でも仕方なかったんだ。さすがにそれを言われるのはまずいからな。
恐る恐るルナの方を見るともう顔が崩れていた。頬を赤らめ、焦点が合っていなかった。なにか危ないと思い、声をかけた。
「ルナ、大丈夫か?その嫌だったのか?」
「ふえ?」
心ここにあらずと言った感じでまともに答えらる状況じゃなくなっていた。
助けを求めたくてリリーの方を見るがこっちもやばかった。
もう放心していて、口をパクパクさせるばかりで言葉になっていなかった。
「あの、リリーさん?大丈夫?」
そしてこっちを見て、ようやく口のパクパクするのをやめられていた。
「シンのバカぁぁぁ!」
そう言ってリリーはその場から立ち去ってしまった。
「いや、ちょ、確かにその反応はわかるが待ってぇぇ!」
そして、リリーが立ち去ってすぐ違う人が来た。
「お兄様、さっきリリーが走って行ってしまったけど追いかけなくてい——ってなんでお兄様がルナさんと抱き合っているの?」
「これに深い訳がありましてですね。それになんでお前もここがわかるんだよ!」
「それは騒ぎを聞いてリリーをたまたま見かけたので後を追っただけですよ?それよりも早く答えていただけますか?」
もう、妹が怖すぎるんだけど。なんでそんなに威圧的なの?
「あれ?なんで私こんなところに?」
そこでルナがようやく気が付いた。
「ルナさん!早くその男から離れて!」
「え?あれなんでシン君が——あ、そうだ私シン君にキスされて——きゅう」
そしてそのまま気絶してしまった。
「ちょ、ルナさん待って!今気絶されると僕がやばいことになるから!」
「へえ、お兄様ルナさんにキスしたんだ?」
「いや、これは事故なんだよ」
「ふーん?無理やり抱きついて、そしてリリーナの前で無理やりキスしたんだ?」
「ちょ、違うよ!確かにリリーの前で無理やりキスはしたけど、他は違うよ!」
「無理やりキスしたんなら、同罪よ!」
そのまま僕は妹に拘束されてしまった。
はあ、これからどうなるんだろ?
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