105 『ヴァンピール・M・C』インタビュー②

―― そもそも今回のインタビューですが、『女子中等部で開催される文化祭のバンドフェス』に関してのものでして……。


団 わははははっ! そうだったな。


―― そこで先輩として、『中等部の軽音楽部のみなさんに期待していること』を教えていただきたいのですが。


ク 実は……申し訳ないんだがここ最近、中等部の子たちの演奏をほとんど聞いていないんだ。


―― そうなんですか?


ク ああ。だから文化祭のフェスで、中等部の子たちの演奏が次から次に聞けるというのは、純粋に楽しみだね。


団 わははははっ! きっとみんな、成長していることだろうなあ。


ク ビックリするくらい上手になっているだろうから、中等部のみんなには、冬眠から目覚めたクマが時の流れに驚くような、そんな演奏を聞かせてもらえることを期待しているよ。


ラ ガオガオっ! クマならではのたとえだな! いいね!


も では私は、『心のチケットの半券』をもぎられてしまうような、そんな演奏を期待しているぞモギモギ。


ラ …………!?


―― 文化祭のバンドフェスでは、『女子中等部でナンバーワンのバンド』を決めようという動きがあるようです。

『ヴァンピール・モンスターサーカス』のみなさんは、その審査員として参加する予定とお聞きしていますが。


団 わははははっ! 本当に余のバンドが審査員でいいのか?


―― とおっしゃいますと?


ク 実は、高等部の他のバンドにも追加で審査員をお願いしようかって話が出ているんだ。

 私たちだけだと、審査にどうしてもかたよりが出る気がしてな。


ラ ガオガオッ! もちろん、中等部の子たちが納得してくれるような信頼の出来るバンドに声をかけるつもりさ。


―― 『審査員の追加を検討している』ということですね?


ク まあ、その辺の話は後日、中等部の子たちとも詳しく話し合わなくちゃいけないと思うんだ。私たちだけで決めることでもないからさ。


ラ ガオガオッ! 少しでも多くの人が納得の出来る審査方法を、可能な限り探っていきたいんだよ!


団 わははははっ! そこでとりあえず今現在、余のバンドだけで独断で決められることを考えたのだが――。

 インタビュアーさん、ここで発表してもよいかな?


―― はい、お願いします。


ク 文化祭のバンドフェスの審査員は、さっきから言っているように高等部の他のバンドといっしょにやるかもしれない。


団 ただそれとは別に、余のバンドが特に気に入ったバンド――つまり『余のバンドにとってのMVPバンド』を独自に決めようと思うんだ。わははははっ!


―― 『中等部でナンバーワンのバンド』は他の審査員と協議して決める。

 けれど、それとは別に『ヴァンピール・モンスターサーカス特別賞』みたいなものを、独自に設けるって感じですか?


団 わははははっ! そんな感じだ。

 インタビュアーさんの言う通り、『ヴァンピール・モンスターサーカス特別賞』を決めると表現した方がわかりやすいか。


ク そうだね。それで、私たちのバンドが『特別賞』と決めたバンドとは、後日いっしょにライブをやりたいと思っている。


ラ ガオガオっ! 私たちが選んだバンドと私たちとで、ふたつのバンドが共演するイベントを開催したいんだよ!


―― なんと! サプライズ発表ですね!

 フェスで特別賞に選ばれたバンドは、『ヴァンピール・モンスターサーカス』といっしょにライブができるんですか!


ク ああ、そうだ。フェスが終わったら、今度は私たちといっしょに最高のライブをしよう。


団 わははははっ! だからもし、余のバンドと共演したい者たちがいるのなら、文化祭のフェスに参加を表明してくれないか?


ラ 魂のこもった演奏を期待しているぜ、ガオガオっ!


ク いっしょにライブをする相手を探すんだ。フェスでの演奏は真剣に聴かせてもらうよ。


も モギモギ……ただ、これだけは今日のインタビューで理解してほしいんだ。

 私たち『ヴァンピール・モンスターサーカス』のメンバーを一番盛り上げたバンドが、必ずしも特別賞を与えられるわけではないぞってこと……モギモギ。


団 …………!?

ラ …………!?

ク …………!?


―― と言いますと?


も インタビュアーさん。たとえば最高の演奏をしたバンドがいたとして、もう一方で、フェスの当日に近所の橋の下で『可哀想な捨て猫』を拾ってきたバンドがいたとするモギモギ。


―― 捨て猫?


も ああ、そうだモギモギ。

 さて……この場合の『特別賞』はわかるかい?


―― もしかして、その捨て猫を保護したバンドが特別賞なんですか?


も いや、違うな……モギモギ。

 この場合の特別賞は『猫』だ!


団 !?

ラ !?

ク !?


も その捨て猫自身が、私たちのバンドにとってのMVPなのさモギモギ。


―― えっ?


ラ ガオガオっ! もしかして、ライオンがネコ科の動物だからか?


も いや、違う。

 ライオンがネコ科とか、そういうのは抜きで『捨て猫』が特別賞だモギモギ。


―― 詳しく説明していただけますか?


も ああ。団長は猫が好きだし、私たちもみんな、猫が好きだ。

 そして捨て猫も、優しいバンドに保護されるという『強運』を持っているモギモギ。

 つまり――。

 その捨て猫の『強運』が特別賞にあたいするってことさ。

 これなら理屈がわかるだろ?


団 ???

ラ ???

ク ???


―― ???

 えっと……捨て猫が『強運』とのことですが……。

 その猫は一度捨てられた時点で、『強運』といえるかどうか……。


も !?

団 !?

ラ !?

ク !?


も も……モギモギ。い、いや、なんだ……この場合、一度捨てられたという『不運』は、特別ルールでノーカウントさ。


―― そうなんですか?


も ああ。私たちの団長はいつも、そういうルールで動いているんだ。


団 ???


―― では仮に、もぎりさんのおっしゃる通り、『捨て猫が特別賞』ということになったとしますよ。

 そうしますと、『ヴァンピール・モンスターサーカス』と後日いっしょにライブをするのが『猫』……ということになりますが……。

 特に問題はないのでしょうか?


ラ ガオガオっ! 問題だと?

 猫でもまったく問題ないんじゃないか? ライオンだってネコ科だしな!


ク ……いや、すまないがこの話はこれくらいでやめておこうか。

『たとえばの話』を、今ここでこれ以上広げたって仕方がないだろ?


も も……モギモギ。そうだな……。


ラ ガオガオっ! もし中等部のバンドフェス当日に、本当に橋の下で捨て猫を拾ってくるバンドがいたら、そのときにみんなでまじめに考えればいいさ。


も 捨て猫と私たちのバンドとで……『四人と一匹』でいっしょにどんなライブができるかをな……モギモギ。


―― そうですね。

 それでは、サプライズ発表もありましたことですし、最後に情報をまとめておきましょうか。


団 ああ、そうだな。わははははっ!

 まず、バンドフェスで『中等部でナンバーワンのバンド』を決める。


ク けれど審査員は、私たちだけじゃない。

 高等部の他のバンドにも声をかけてみて、いくつかのバンドで協議して審査をしたいと考えている。


ラ ガオガオっ! 文化祭までは、まだ時間がある。

 審査に関しての話は、中等部の子たちとこれからも連携して考えていく必要があるな。


も モギモギ……。そして、中等部でナンバーワンのバンドを決める審査とは別に、私たちのバンドが独自に『ヴァンピール・モンスターサーカス特別賞』のバンドを決めるんだモギモギ。


ラ ガオガオっ! 中等部でナンバーワンになったバンドが、必ずしも特別賞を与えられるわけではないからなっ!


も ああ、そうさモギモギ。

 私たちの特別賞は捨て猫に与えられるかもしれないし、捨て犬に与えられるかもしれないっ!

 なあ、みんな! そうだよなっ!


団 …………!?

ラ …………!?

ク …………!?


―― それでは、『ヴァンピール・モンスターサーカス』のみなさん、本日はありがとうございました。

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