おまけ 『クレイジーペットボトル』が語る

046 おまけ 『クレイジーペットボトル』が語る

◆特別インタビュー◆

―― 女子中学生四人組ガールズバンド『クレイジーペットボトル』が語る ――



――(インタビュアー) 文化祭のバンドフェスについて、教えてください。


ボーカル(以下 Vo) 耳を疑ったり、二度見しちまったりするような、そんな悲惨なニュースが飛び交うこの現代で、アタイらがまず言っておきたいのは、「女子校でやるバンドフェスだからって、けっして甘ったるい雰囲気にはならねえ」ってことだな。


ドラム(以下 Dr) そうだぜ。


―― バンドフェスは、甘い雰囲気にはならないんですか?


ギター(以下 G) ああ、そうだ。まあ、あんたらがわたしたちの音楽に、どうしても甘い雰囲気を求めているってんなら、口と鼻の穴にイチゴのショートケーキでも詰め込んでフェスの会場にやって来な、このスイート・ハート。


Vo 鼻の穴のショートケーキには、アタイらが歳の数だけロウソクをぶっさして着火してやっからよぉ。


Dr そうだぜ。歳の数だけぶっさしてやるぜ。


―― 鼻の穴に詰め込むケーキは、ショートケーキ以外のケーキでもいいの?


Vo んっ? まあ、ケーキは別にモンブランでもいいぜ? フェスの開催は秋だからな。

 知っての通り、秋はくりの季節だ。


Dr そうだぜ。モンブランは栗のケーキだぜ。


―― ロウソクをぶっさしてくれるってことは、鼻の穴にケーキを詰めていけば、フェスの会場で『クレイジーペットボトル』に直接会えるの?


ベース(以下 B) その約束は出来ねえな。ウチらは食べ物を粗末そまつにする奴が嫌いなんだよ。

 だから、ケーキを鼻の穴に詰めるなんて、そんなことを本当にしたらダメだ。あんた、頭大丈夫か?

 ウチらは、そんな奴とは会わないよ。


Dr そうだぜ。本当にケーキを鼻の穴に詰めたらダメだぜ。


―― 結局、当日のバンドフェスは、どんな雰囲気になるんですか?


B ああ、当日のバンドフェスなんだが、女子校とは思えないぐらいケガ人続出の『男祭り』みたいな雰囲気になると思うぜ。


G ああ、そうだな。『男祭り』だ。わたしたちが、そう予言するよ。うーん、フェスティバル・ボーイ☆


Dr そうだぜ。『男祭り』だぜ。予言するぜ。うーん、フェスティバル・ボーイだぜ。


―― 文化祭のバンドフェスは、相当荒々しくなるってこと?


Vo ああ、そうだ。そんな荒々しいフェスなんだが、どうしても参加するってんなら、今年の福男ふくおとこでも決めるつもりで、出来るだけ走りやすい格好で会場に来た方がいいぜ。


B そうだな……ジャージにランニングシューズで、開門と同時に汗だくになりながら、フェスの会場に一番に走り込んできてほしい。


―― どうして走りやすい格好がいいの?


Vo まあ、なんでもうわさじゃ、頭の固い大人たちが、フェスを中止に追い込むために、会場にライオンを2頭放つらしいからな。

 確か一頭はメスで、もう一頭もメスらしいぜ。


Dr そうだぜ。一頭はメスで、もう一頭もメスだぜ。


―― 頭の固い大人たちの手によって、フェスの会場にライオンが放たれるの?


B ああ、そうらしい。もし会場でライオンに追いかけられたら、そんときゃあんたも、歩いて逃げるよりは、走って逃げた方がいいだろ?


G だから走りやすい格好がいいんだぜ、ライオン・ボーイ☆

 そんなわけでこれが、わたしたちがあんたに出来る、たぶん最後のアドバイスだ。


Dr そうだぜ。これが最後のアドバイスだぜ。


―― 最後に。ライオンは本当に、我が子を谷に突き落とすの?


G 本当に最後にそれが聞きたいのか? この鼻モンブラン野郎。

 あんたには、やっぱりもう少しだけアドバイスが必要なようだな。


Dr そうだぜ。アドバイスが必要だぜ。


G そんなあんたに出来る、わたしたちからのアドバイスはな、



『あんたの目の前にいるのは、動物博士でも育児評論家でもない。女子中学生バンド・クレイジーペットボトルだぜ?』



 ってことだ。

 それでわたしたちの言いたいことが、だいたいわかるだろ? うーん、ポルノ・スター☆


―― やっぱり、もう少し質問してもいいですか? この話の流れでポルノ・スターってどういうこと?


B おいおい、あんた。今日はウチらに、バンドフェスのことを聞きに来たんじゃないのか?

 だったら、ポルノ・スターの話は、今は別にいいだろ?


G そんな話より、マヨネーズの話をしようぜ、スイート・ハート。

 冷凍マヨネーズの話なら、前にも一度、インタビューで話したことがあるんだ。


Vo いや、この子の発言は気にしないでくれ……。最近、いつもこうなんだ。ちょっと衝動的なんだよ。

 だから、マヨネーズの話はなしだ。悪いが今日はやめてくれ。


G ケチャップ。


Dr そうだぜ。ケチャップだぜ。


Vo いけない……こいつらが、ケチャップって言いはじめやがった! もう、これ以上のインタビューはダメだっ!


B と、とにかく、マヨネーズの話はなしだ。そして、ケチャップの話もなしだぜっ!

 そ、それと、すまねぇ、インタビューは中止だ。中止にしてくれ!


―― えっと……こ、これ以上インタビューを続けると、どうなっちゃうんですか?


Vo ……ど、どうにもなりゃしねえよ。

 ただ、こいつら二人は、マヨネーズとケチャップを混ぜ合わせたものが、世間じゃ『オーロラソース』って呼ばれていることに、心の底では納得していないんだ。


B だから、オーロラソースに対しての愚痴ぐちが、はじまっちまうんだよ。

「あんなのどこがオーロラなんだ?」ってな具合に、延々と愚痴が続くんだ……。


Vo あんただって、そんな話に耳を傾け続けるのは不毛だろ? 心の中が、もやもやーっと、オーロラソースみたいな色になっちまう。


―― はい、そうですね。『クレイジーペットボトル』のみなさん、本日はありがとうございました。



※おまけのエピソード(046話)は以上です。

次話(047話)より、再び本編となります。

『第五章 中二病喫茶の接客テスト』のはじまりです。

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