バイバイ

 学校からの帰り道。


「バイバイ」

 突然耳元で聞こえたのは、私自身の声だった。


「今なんか聞こえなかった?」

 咄嗟に一緒にいた友人達に尋ねたが、返事はなかった。というか、みんな私が見えておらず、私の声も聞こえなくなっていた。

 私のことを忘れてしまったように笑いながら、歩き去っていった。


 その日以来、誰も私に気付いてくれなくなった。まるで透明人間になったように。

 誰もが私のことを忘れていた。まるで最初からいなかったかのように。


 私はあの日、何と「バイバイ」したのだろう。

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