帰宅され

(二階建ての一軒家で暮らす四姉妹のある日の会話。場所は一階のリビング。玄関のドアが開く音がした。長女、次女、四女は顔を見合わせる。廊下をどたどたと走ってくる音が聞こえ、ドアを勢いよく開けて三女が入ってくる)


三女「たっだいまー!」


四女「おぅ… おかえり」


三女「いやー今日発売の本買って読みながら帰ってきたんだけどさ、もう出だしから表現がすばらしいの! やっぱあの作者すごいわ!」


次女「そ、そうか… 良かったね」


三女「本当良かったよ! あ、長女に頼まれてたマンゴーとキャベツとトマト買ってきたから! ここ置いとくね!」


(三女、持っていた袋を机上に置く。どさっという音がした)


長女「え!? ああ、そうなの… ありがとう…」


三女「…どうしたの? 今日みんななんか変じゃない?」


四女「そんなことないよ! まったくいつも通り!」


三女「そう? まあいっか! じゃあ、私二階行ってるねー」


次女「う、うん…」


(三女、他の三人に背を向けてスキップで階段を上がっていく。一階にはしばらくの間、沈黙が流れた)


次女「えっと… 何今の? ドッキリ?」


四女「それにしちゃ手が込みすぎてるでしょ… それにあの本、三女昨日買ってきてたよね? 『今回は微妙だった』って言ってた…」


長女「大体私、買い物なんて頼んでないし。いや、もっと根本的な問題としてさ、ありえない、よね…?」


長女(だって…)


次女(だってさ…)


四女(だって三女は…)



(リビングと風呂場を隔てるスライド式のドアが開く。タオルで髪を拭きながら が現れた)



三女「いやーサッパリしたあ!」


長女・次女・四女(とっくに家に帰ってきて、シャワー浴びてたんだから)


(四女、立ち上がって机の上にある『三女』が持ってきた袋の中身をあらためる。確かに『三女』が言ったとおりのものが入ってはいたが、そのどれもが茶色く変色し、腐臭を放っていた)



長女・次女・四女「………」



三女「あれ? みんなどうしたの?」


(三女だけが、状況を把握できずにキョトンとしていた)

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