第三百九十一話 『最高速』

「よっし!だいたい買えたね!じゃぁハンティングタイム!!」

サラは元気よく行進した!


===

「先にジュンに買ってもらったこれを試そうかな!ジャキーン!」

サラはそう言って、背中にしまっていた道具を取り出した。


「網だね!」

僕が言う。

そう、サラに買ってあげたのは、網。

サラが手に入れたら無双するアイテムであった。


「ふっふっふ!これはいいものを手に入れました!」

サラはそう言いながら、剣のように網を振り回している。似合いすぎる程に似合っている。


「鬼に金棒だね!」

僕が言う。

そう、彼女がこれを持てば仮においては無敵だろう。


「誰が鬼ですか!は今回は許すとして、まずは使ってみよ、うさぎちゃんでもゲットしてみよう」

サラが言う。

そしてあたりを見回す。

彼女は現実世界でも目が良さそうだ。ゲームもとかやらないし。


「あ、あそこにいるね」

僕は指差す!

するとサラはオッケーマークを出して、そろーりそろーりと近づいていく。


「しーっ!」

サラは僕と奈緒子に静かにするよう合図を出して、兎の後ろから近づいていった。


「すごい、サラが静かにするという作戦をとっている!」

僕は言う。

元気いっぱい少女のサラがそんなインテリジェンスな作戦を取るなんて!と言ったら怒られそうなので言わないけれども。


「サラちゃん!がんばです!」

奈緒子もかなり声を殺してサラに声援を送っている。

そしてサラは更に兎に近づいていく。

後ろから届く距離まで近づいた。


「とりゃっ!」

サラはそう言って、網を振り下ろす!

これは捕獲できたなと思った瞬間。


びゃーっ!と兎は逃げてしまった。


「惜しい!」

僕は言った。

もっと反射神経の低いモンスターなら確実に確保できていた。兎はそういうものに敏感なようだった。


「まてー!」

サラはそう言いながら、兎を追いかけるためにダッシュをはじめた。他の人ならもちろん諦めるところだ。


「え?兎と追いかけっこする人はじめて見たんだけど、兎の時速って40キロだよ。100メートル9秒」

僕はサラの行動を見て驚いた。

普通ならまったく間に合わない。


「とりゃぁぁぁぁ」

サラはそう言いながら、高速で走り、兎をゲットした!


「すごいですね!兎さんが最高速になる前に追いついちゃいました!」

奈緒子が言う。

そう、僕が言った時速40キロは最高速。そこに達する前にサラが追いついてゲットした!


「やった!ゲット!確かにこれ私に向いてた!ジュン!ありがと!」

サラはぴょんびょん飛び跳ねながら喜んでいる。


「うん、それができるのはサラだけだけどね!」

僕はその様子を見て笑った。



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